季節の変わり目に増える風邪。「もう治った」と思っていても、実はその後に副鼻腔炎へと進行しているケースが少なくない。黄色や緑がかった鼻水、鼻の臭い、そして慢性化した咳と痰。意外と知られていないのが、その原因に「虫歯」が含まれるということ。放置すれば手術が必要になることもある副鼻腔炎について、専門医に話を聞いた。
最も多い原因は風邪を“こじらせる”
鼻の奥にある空間「鼻腔」。そのそばにある頬や目の周りの空洞部分が「副鼻腔」が、細菌などによって炎症が起きるの副鼻腔炎である。
主な症状は、鼻水の粘り気が増すこと、色が黄色や緑になること、鼻が臭うことなど多岐にわたる。人によっては目や頭が痛くなることもある。症状の出方は個人差が大きく、「ただの鼻づまり」と見過ごされやすいのが特徴だ。
「副鼻腔炎の最大のきっかけは風邪」と指摘するのは、福井大学病院耳鼻咽喉科の坂下雅文医師。「春から夏への季節の変わり目は寒暖差で風邪をひいてしまう人が多い。それをこじらせて副鼻腔炎になる人が多い」という。
風邪だと思って放置しているうちに、副鼻腔にまで炎症が広がってしまうケースだ。
また、大気中を浮遊する微小粒子状物質であるPM2.5や汚染物質、ほこりなども原因になり得るという。
実は歯のトラブルとも密接に関係
さらに、一見すると無関係に思える「歯」が副鼻腔炎の原因になることも指摘されている。
「虫歯が原因で副鼻腔炎になる人もいる」と坂下医師。
歯の根っこと副鼻腔は物理的に接しているため、虫歯によって生じた菌や炎症が副鼻腔へと波及するケースがある。口腔ケアが副鼻腔の健康にも直結しているという意識を持つことが重要だ。

副鼻腔炎と診断されるのは、症状が3カ月以上続いた場合。慢性化すると、症状の出方が変わってくる。「鼻水は前に出てくると思う人が多いと思うが、実は慢性になると喉のほうに垂れてくる」と坂下医師は説明する。
喉に鼻水が流れ込み「咳払いをしても痰が絡む」という症状が。そして「痰が絡む人の半数は、原因が副鼻腔炎といわれている」という。
慢性的に痰が絡んでいる人は、単なる喉の問題と思い込まず、耳鼻科を受診することも大切だ。
放置すれば髄膜炎や手術のリスクも
副鼻腔炎を放置した場合、膿がたまることで目などに痛みが生じるだけでなく、脳の近くで炎症が起きる髄膜炎を発症する危険性もある。
最終的には手術が必要になるケースもあるという。早期の受診が、こうした最悪の事態を防ぐ上で重要な鍵となる。
予防について、坂下医師は次のようにアドバイスする。
「いつもと鼻の具合が悪いなと思ったら、鼻うがいをして整えておく。そして症状が軽いうちに病院へ行く方が良い」
症状が軽いうちに対処することが、慢性化や合併症を防ぐための最善策だという。風邪をひいて鼻の調子がおかしいと感じたら、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに耳鼻科を受診するようにしよう。
症状を言えない子供…プール前の健康診断を受診のきっかけに
副鼻腔炎は年齢を問わず発症する病気だが、子供の場合は特に注意が必要だ。症状があっても自分でうまく伝えられず、周囲が気づかないまま抱え込んでしまうことがある。
「小学校はプール学習を前に、耳や鼻の健康診断をする。その際に蓄膿じゃないかと指摘される人も多い」といい、その場合は受診をと坂下医師は呼びかける。
保護者が子供の状態に目を向け、異変を感じたら迷わず専門医に相談することが重要だ。
風邪だと思って終わらせてしまいがちな鼻の不調も、こじらせれば副鼻腔炎へと進展する。さらに慢性化すれば、痰の絡みや髄膜炎といった深刻な事態にもつながりかねない。「軽いうちに病院へ」という意識が、自分と家族の健康を守ることにつながる。
