福岡・粕屋町で高校生2人が飲酒運転の車にはねられ亡くなった事故から15年。息子を亡くした母親が、『飲酒運転ゼロ』を目指し、訴え続ける思いとは。

高校生死亡の飲酒事故から15年

福岡県内で一斉に実施された飲酒取締り。警察官約550人が主要幹線道路や繁華街周辺などで一斉検問を行い、酒気帯び運転の疑いで2人が現行犯逮捕されるなど、合わせて9人が摘発された。

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毎年2月9日に行われる『飲酒取締り』は、福岡県警にとっても特別な意味を持つ。

15年前のこの日、福岡・粕屋町で当時、高校1年生だった山本寛大さんら2人が、飲酒運転の車にはねられ亡くなった日で、これを機に県をあげての飲酒運転撲滅の機運が高まったからだ。

息子亡くし1600回以上の講演

事故があった日、寛大さんの母親である山本美也子さんは、電話で息子の『即死』を伝えられたという。

「楽しいこともたくさんしたかったでしょうからね、もう一番、寛大が悔しいと思います。だけど寛大の死を私たち家族は無駄にしない」と事故後の取材に応じた美也子さん。

事故現場を訪れ「飲酒運転だけは、大人さえ気をつけていれば、ゼロになると思うんです。なのでゼロになるまで…」と息子に誓った『飲酒運転ゼロ』の社会。

事故から約1ヵ月半後、美也子さんは、飲酒運転撲滅を訴える講演を始めた。

これまでに行った講演の数は1600回以上。美也子さんは、決して休まず、ひたすらに続けてきた。事故から15年。寛太さんの命日だった2月9日も美也子さんの姿は、檀上にあった。

「福岡から『飲酒運転ゼロ』を発信する。ゼロになるまで、どうぞよろしくお願い致します」。必至に来場者に呼び掛ける美也子さん。しかし、現状は厳しい。

減らない『飲酒運転』

飲酒運転の検挙件数は、2021年に1092件だったが、2025年は、3000件を超えてしまった。こうした状況に美也子さんは、「飲酒運転は『いかんよね』と声をあげる人は増えている。

15年間で進化はしていると思う。遺族は年をとって活動できなくなる時もくる。続けていく難しさにも直面すると思うが、頑張りたい」と語り、飲酒運転撲滅への決意を新たにしていた。

飲酒運転目撃したら『通報義務化』

一方、警察も飲酒運転撲滅に向けた機運を高めるため地道な活動を続けている。福岡県では2020年から飲酒運転を目撃した際の『通報義務』が条例で定められたことを機に、定期的な通報訓練が行われている。

飲酒運転通報訓練
飲酒運転通報訓練

訓練では、客に扮した警察官が、従業員と実際の場面を想定してやり取りを実演する。客:「ごちそうさ~ん、あ~旨かった」従業員:「鍵をお持ちですけど、本日、車でお帰りではないですよね?」などと、飲酒した客に運転しないよう、さりげなく言葉を掛ける。

そして、「今、お店から飲酒をされたお客様が、車に乗られて帰られそうなので通報しました」と、実際に110番通報し、警察官が駆け付けて未然に防ぐまでの流れを確認する。

これは、店側が、警察に通報するという心的ハードルを下げる効果も狙っている。

福岡県警によると、2025年に寄せられた飲酒運転に関する通報は、約2500件。そのうちの1割ほどが検挙に繋がった。しかし、県警が公表したアンケート結果では、飲酒運転の通報義務について、県民の半数が「知らない」と答え、認知度をいかに高めるかが、課題となっている。

粕屋警察署交通第1課長の松下隆警部は、「飲酒運転は、しない、させない、許さない、見逃さないというスローガンのもと、県民一丸となった撲滅への取り組みを進められるようご協力をお願いしたい」と、広く協力を呼び掛けた。

福岡県警粕屋警察署 交通第1課長 松下隆警部
福岡県警粕屋警察署 交通第1課長 松下隆警部

15年前、高校生の命を奪った飲酒運転。事故を風化させないため、遺族や警察の模索が続いている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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