日常的に「着物」を着る人は減っているが、卒業式や成人式など「人生の節目」には、華やかな振り袖を身に着けたい、と願う人はまだまだ多いのではないだろうか。しかし、車椅子を利用する人たちにとっては、「着付けに時間がかかる」など、様々なハードルがあるのが現実だ。こうした不安を解消し、誰もが人生の節目を楽しめるよう、車椅子専用の振り袖が開発された。

「車椅子専用」振り袖 宮崎に登場

車椅子専用の振袖は、「選びたい柄がない」「着付けに時間がかかる」など、車椅子の人たちの不安を解消しようというものだ。

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宮崎市の振り袖専門店「一蔵&オンディーヌ宮崎店」では、2025年11月から「車椅子専用」振り袖の取り扱いを開始した。

一蔵&オンディーヌ宮崎店 三島大輔さん:
お客様によってはハンディがある方がいるということも聞いて、そういった方が気軽に日本の伝統文化を楽しめるのは良いことだと思って取り入れた。

「車椅子専用」振り袖は、着る人の身体の状況に合わせたオーダーメイドで、着付け師がいなくても、家庭で簡単に着られるように工夫されている。

取材した佐々木紅音アナも、車椅子を使っているという想定で試着させてもらうことに。

長襦袢(着物用の下着)は、座ったまま着られるよう、腰までの長さになっていた。通常であればこの段階に行くまでにいくつも紐を結んだりしないといけないが、簡単に着付けられるように工夫されていることから、スムースに進む。

おはしょり(着物の着丈を調整するために、腰部の布をたくし上げて折り返した部分)も、あらかじめ形が整い、チャックで留めるようになっている。外からの見た目は、通常の着物と同じだ。

帯は飾り帯になっていて、胴の部分がマジックテープでつくようになっている。着付けは8分で終了した。

佐々木アナウンサー:
とてもスムーズに着付けが完了しました。締め付け感もないし、特別力を入れたり、何かにつかまったりしないといけないこともなかったので、本当に体の負担が少なく着ることができると思います。

車椅子専用の振り袖は、華やかさはそのままに、身体への負担を最小限に抑えている点が大きな特徴だ。

開発のきっかけはファッションショー

振り袖を作っているのは、振り袖のレンタルや販売などを行う一蔵。

開発のきっかけとなったのは、一蔵が主催する「きものファッションショー」で、開発担当者が見た光景だった。

一蔵振袖商品課 高野亙次長:
車椅子で来られているお客様もいらっしゃって、その光景を見て、私が振袖をメインで担当しているので、車椅子の方でも振袖を着て、ご友人やご家族と楽しんでほしいと思って制作した。

2025年、車椅子専用振り袖を着てランウェイに登場した車椅子モデルの中村来夢さんと玉置陽葵さんは、お気に入りのものを着られる楽しさを実感したと話す。

車椅子モデル 中村来夢さん:
小学校の頃、車椅子だと着付けがすごく手間取った印象で、もう、着物は着ないな、と思っていたけど、車椅子専用振り袖を着て、「おしゃれやかわいさを重視して身にまとうものを選びたい」と思うようになって、挑戦の幅が広がりました。

車椅子モデル 玉置陽葵さん:
車椅子に座っていると背もたれがあるので、帯が当たってしまって姿勢を保つことが難しかったりするんですが、帯が高めの位置に設定されていたり、着心地がいいなと思いました。「車椅子でも着られる服」ではなく、「自分が着たいと思えるもの」から選べるのは、私たち(車椅子ユーザー)にとってすごくうれしいことだと思います。

オーダーメイドで約3カ月

車椅子ユーザーにとって希望となっているこの振り袖は、宮崎市の「よしみカメラ」が運営する振り袖専門店「一蔵&オンディーヌ宮崎店」で取り扱っている。

仕立ての注文も受け付けており、約3カ月で世界に一つの振り袖が完成する。

一蔵&オンディーヌ宮崎店 三島大輔さん:
今まで車椅子だからあきらめていたという方に対しても、皆様に記念を残すことを提案できたらと思っている。

「人生の節目の一日をあきらめないでほしい」この専用振り袖は、そんな日を楽しめる大きな一歩となりそうだ。

(テレビ宮崎)

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