400年以上続く伝統行事「ヤモード祭り」が長崎県佐世保市で行われた。住民が一体となって作る巨大なしめ縄、鳥居にかける大仕事…今年も太鼓と威勢のいい声が町に響き渡った。
町の伝統400年続く「ヤモード祭り」
毎年1月第4日曜日、佐世保市の淀姫神社で伝統行事「ヤモード祭り」が行われる。
「ヤモード」と呼ばれる2人を中心に、町の人たちが大きなしめ縄を作り、神社の鳥居にかける伝統行事だ。町の五穀豊穣や家内安全を願い400年以上続く祭りで、長崎県の無形民俗文化財に指定されている。
「ヤモード」とは山の神の使者である「山人(やまうど)」が語源で、矢峰町と松原町から2人が選ばれる。今回は矢峰町の松本研介さん(56)、松原町の山口秀二郎さん(32)が選ばれ、大役を担うことになった。
水温7℃で身を清める
まずはヤモード2人が町の池で身を清める。太鼓が鳴り響く中、ふんどし姿のヤモードが池に入る。
池の水温は7℃。冷たい水に、身も心も清められる。
ヤモード4回目の山口秀二郎さんは「いつもよりも入っている時間が長すぎて慣れてきた。いい水でした」と語った。
20年ぶりの大役となる松本研介さんは「昔の記憶が蘇った」と振り返り、「病気、ケガがないように、それが一番。健康に元気に過ごせればいい」と願いを込めた。
清めの儀式が終わると、ヤモードは神社へお供えする「シトギ」と呼ばれる団子作りに取り掛かる。息がかからないように、口に「サカキの葉」をくわえるのが習わしだ。
「よいしょ」の掛け声で結ぶ地域の絆
「よいしょ、よいしょ」。神社では、氏子と町の人たちの掛け声とともに、しめ縄づくりが行われる。
「チョンチョコベ」と呼ばれる“わら人形”を大量に作り、縄の中心に差し込みながら太くしていく。
稲わらを使って矢峰町と松原町が町ごとにしめ縄を作る。緩まないよう木づちで叩きながら力を込める。
こうして作られた2本の長い縄。それらをより合わせて、1本の大しめ縄を作る。
五穀豊穣と家内安全の願いを込めながら、力強く縄をより合わせていく。400年以上続けられてきた、住民たちをつなぐ絆だ。
鳥居に登れるのは「ヤモード」だけ
約5時間かけて長さ8m、重さ300kgの大しめ縄が完成した。
完成した大しめ縄は、鳥居にかけるために全員で担いで運んでいく。これだけでも大仕事だ。
足場を作り、300kgのしめ縄を力いっぱい持ち上げていく。年に1度の伝統行事を、住民もそばで静かに見守る。
最後は「ヤモード」が鳥居へ。鳥居に登ることが許されるのは、身を清めている「ヤモード」の2人だけだ。
氏子たちが大しめ縄を下から持ち上げ、ヤモードが上から引き上げる。
ヤモード、氏子、地域の人たち全員で協力し、無事に大しめ縄が鳥居にかけられた。
未来へつなげたい伝統の祭り
しめ縄がかけられた後は、鳥居の上からもちまきが行われ、町の人たちと完成を祝った。
「ヤモード」の山口さんと松本さんは、「皆さんと力を合わせて今年もいいものが出来た。これから先も、これくらい立派なしめ縄をしめていきたい」と決意を語った。
淀姫神社 矢峰松原氏子奉賛会の宮本繁昌役員は「先人からの伝統行事を今年もできるということが一番のよかこと。若い人たちの力を入れて協力していくことが、これから先のヤモード祭り」と、次世代への継承に期待を寄せた。
新しくなった淀姫神社の大しめ縄を通じて、地域の絆がさらに深まることを願っている。
(テレビ長崎)
