なんだこれ?

 
 
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今週月曜に不思議なニュースを見た。

立憲民主党の辻元国対委員長が大島衆院議長に国会の事態打開を申し入れた、というニュース。
大島さんは辻元さんに審議に戻るよう要請し、辻元さんは与党側と協議する姿勢を示した。
与党側は譲歩をし、野党はどうやら審議に戻るらしい。
で、きのう戻った。

なんだこれ?
 

世論の批判に屈して審議戻り?

 
 

野党は麻生財務相の辞任と柳瀬元秘書官の証人喚問が審議に戻る条件だったんじゃないの?
それなのに、世論の批判に屈し審議に戻るんでしょ?

「寝る」と「起きる」というなれ合い

昔から野党が審議拒否することはよくあった。
これを「寝る」という。
審議に戻ることを「起きる」という。
普通は、与党が野党に「起きる」ようお願いする。そのために譲歩する。

でも実は「起きる」タイミングを逸した野党が、与党に「起こして」くれるよう頼むというのもよくある。
その場合、与党は譲歩するふりをするだけでよい。

自民党と社会党の55年体制における与野党なれ合いでよく見た風景だ。
月曜の大島辻元会談を見て自社の与野党なれ合いを思い出した。

大島さんは優しい人なので「起こして」あげたんだろうな。
 

働かない政治家にお金を払いたくない

 
 

でも実は、働き方改革は裁量労働制の拡大を外して骨抜きになっているし、IR法案は自公で合意しているので別にいつでも採決強行できる、
さらに憲法改正はもう少し時間がかかりそうなので、安倍さんとしては、この国会は最後まで野党に寝てもらってもよかったのではないか。

だから大島さんは辻元さんを起こしてあげる必要はなかった、と思う。
野党をずっと寝かしとけばよかったのに。
そうすれば内閣支持率の低下よりは野党への批判の方が大きくなったかもしれない。

少なくとも我々納税者はあんな茶番劇に木戸銭を払うほど暇ではない。
こういうことが起こるたびに、政党交付金を国民から強制的に取り立てるのをやめて、個人献金を税額控除にしてほしい、と切に思う。
一生懸命稼いだお金を、働かない政治家に払いたくない。
見たくもない茶番劇に木戸銭を払いたくないのだ。
 

(執筆:フジテレビ 平井文夫 上席解説委員)

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。