子どもや学校のための活動をする“PTA”。
しかし、2022年頃からPTAを退会する人が相次いでいるといいます。中には「廃止」に追い込まれる学校も。

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文化学園大学の加藤薫教授によると、PTA退会者増加の背景には、共働きや、ひとり親などの参加が難しい家庭が増加したこと、義務ではなく自由参加だと広く知られるようになったことなどがあるといいます。
また、保護者だけではなく、教師からも苦しいとの意見が噴出しているそうです。

文化学園大学 加藤薫教授:
この1年、本当に退会する人が増えてきていまして。
そんな中で、教育委員会や学校が、いままでなんとなく全員参加でPTAをやっていたけれども、きちんと意思の確認をしなくてはいけないと変わってきまして、今までは入会の意思確認を書面でしないところが多かったんですけども、紙を使って入会の意思確認をするところも増えてきていますので。
今後、不適切な運営をしているところが多ければ、ますます退会をする保護者や教員が増えていき、その結果立ち行かなくなって「解散」に追い込まれるところが出てくると思っています。

“ブラックPTA”の実態…「涙の免除式」子供に対するいじめも

負担が大きいPTA活動。一部では、“ブラックPTA”と呼ばれるような状態になっているところもあるといいます。

PTAの役員を家庭の事情などで引き受けることが難しい人に対して、保護者みんなの前でできない理由を話して承認を得なければいけない“涙の免除式”が行われたり、親の介護なら証明書を提出しろと言われたケースも。

さらに、仕事を断ったり、PTAを退会すると子どもがいじめられたり、集団登下校の班から外されてしまったこともあったといいます。

文化学園大学 加藤薫教授
文化学園大学 加藤薫教授

文化学園大学 加藤薫教授:
そもそもPTAは自由参加のものなので、やりたい人がやる、できる人がやると。
自分も我慢してやっているのだから、他の人も我慢すべきだと、そのような意識を転換しなくてはいけないと思っています。

PTAを廃止したらどうなるの?新しい取り組み「PTO」

実際にPTAを廃止した東京都大田区立嶺町小学校は、ボランティア制の「PTO(Parent -Teacher Organization/保護者と先生による楽しむ学校応援団)」をスタートさせました。

「できるときに、できる人が、できることをやる」を基本理念とし、入会は任意ですが、現状 加入率は100%だといいます。
会費は1世帯につき、年2600円。ボランティアで活動してくれた人には運動会などで、子どもの演技や競技が見やすい席が貰えるなどの特典も。

文化学園大学 加藤薫教授:
PTAの形を残しつつ、強制のない、できるだけうまく回していこうという所もあります。
その一方で、北海道の4つの学校や、長野県の長野市、松本市の学校、それから東京の立川市の学校で、モデルチェンジというよりも、PTAに入る人が少なくなってきたというのが主な原因として完全に組織がなくなるという例も出てきています。
じゃあそれで困るかというと、PTAのような組織がないと保護者と学校は協力できないのかというと、決してそうではなくて、学校が何か手伝ってほしいと直接保護者に声をかけて、それに応えて余裕がある保護者が協力する。そういう例はすでに全国で起きています。

学校と保護者のつながりは、今後どうなっていくのでしょうか?

文化学園大学 加藤薫教授:
先生と保護者が連携・協力をする場合、組織がなくても十分可能なはずだと思っていまして。
一方で、負担の少ないPTAというものを模索しつつ、もう一方ではなくしてしまって、ダイレクトで保護者と先生がつながるにはどうすればいいか?これは今後色々なところで模索が進んでいくと思っています。これから何年か注目していきたいなと思っています。

(めざまし8 「わかるまで解説」より3月29日放送)