静岡が駿府と呼ばれていた江戸時代、あんこを使った3つの和菓子が「駿河三大名物」として旅人たちに愛されていた。有名な安倍川もち、追分ようかん、そして意外と知られていない「うさぎもち」だ。うさぎもちとは一体どんな和菓子なのか調査した。
駿河三大名物「うさぎもち」の看板を発見
テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサーは、“あんこと共に生きている”といっても過言ではないほどのあんこ好き。
おいしいあんこを求めて食べ歩いたお店は200軒以上。休みの日には自家製あんこを手づくりし、記念日にもあんこ入りケーキを食べる、自他共に認める“あんこ通”だ。
そんな大森アナウンサーが今回リサーチするのは「うさぎもち」。
静岡が駿府と呼ばれていた江戸時代、あんこを使った駿河三大名物と呼ばれる3つの和菓子があった。それが「安倍川もち」「追分ようかん」、そして「うさぎもち」だ。
十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」に登場する「安倍川もち」に、300年以上の歴史を誇る「追分ようかん」は今でも静岡を代表する和菓子として知られている。一方で「うさぎもち」は多くの人にとって、なじみが薄いのではないだろうか。
向かったのは、東名・静岡ICから南東へ車で3分ほどの場所。「駿河三大名物うさぎもち」の看板を掲げた和菓子店を発見した。静岡市駿河区西脇にある和菓子店「松木屋」だ。
店の前にはうさぎもちと書かれたのぼり旗も看板も出ていて、「駿河三大名物 江戸時代から続く味 うさぎもち」と書かれている。一体どんな和菓子なのだろうか。
もっちりなめらか こしあんの逸品
店内に入ると、おいしそうな和菓子がずらっと並んでいた。お団子や大福、どら焼き、カステラといった定番商品がそろっている。
そして冷蔵ケースの中に見つけたのが「うさぎもち(150円)」だ。
テレビ静岡・大森アナウンサー:
うさぎもち、あんこが透けて見えます。ギッシリあんこが入っている予感がします
コロンとしていて見た目もかわいい。
さっそく「うさぎもち(1個・150円)」を試食させてもらった。大きくてずっしりしていて、食べ応えがありそうだ。
テレビ静岡・大森アナウンサー:
おいしい! もっちりしていて、あんこがなめらか。中はこしあんでした
うさぎもちの中には、上品でなめらかなこしあんがギッシリ詰まっていた。丁寧な仕事をしているのが伝わってくるこしあんだ。
特上の生あんと白ザラ糖で作るこしあん
なめらかなこしあんは、どうやって作るのだろうか。松木屋の松木伸公さんに聞いた。
松木屋・松木伸公さん:
まず、あんこ屋さんが作る特上の生あんを使用しています。そこに白ザラ糖を加えて煮ていきます

テレビ静岡・大森アナウンサー:
いいあんこは、ザラメを使っているとよく聞くんです。やはりここもザラメを使っていました
満月がモチーフの焼き印は、目を凝らすと中央にうさぎの形が見えると言われている。もちもちの薄皮とこしあんが相性抜群のうさぎもち。駿河三大名物と言われるワケを聞いた。
徳川家康が名付け親とも言われている
うさぎもちが生まれたのは、なんと江戸時代。現在の葵区古庄で両替商を営んでいた前島家が発祥だ。
ある時、徳川家康に振舞ったお餅がとてもおいしかったので、宿場町の名物として売り出すように命じられたと言われている。

松木屋・松木伸公さん:
諸説ありますが、徳川家康さんが名付け親という話もあるんです。店先に2羽ウサギを飼っていたそうで、そこからきていると言われています
前島家の屋敷で飼っていたウサギにちなんで、徳川家から「うさぎもち」と名付けられ、「焼き印」をもらったと言われている。その焼き印は、ウサギが餅をついている満月の形だった。
江戸時代の食通・大田南畝が称賛
周りの評判はどのような感じだったのだろうか。
松木屋・松木伸公さん:
江戸時代の中期に、狂歌師の大田南畝(おおたなんぽ)が歌った歌詞に“兔餅”が入っているんです
「耳長ふ 聞き伝えきし 兎餅 月もよいから あがれ名物」。
江戸時代きっての食通、大田南畝が最高の食感と称賛した「うさぎもち」。
その評判は東海道の旅人たちの間で広がり、「安倍川餅」、「追分ようかん」と並ぶ駿河三大名物と呼ばれるまでになった。

勝海舟や渋沢栄一などの偉人も口にしたと言われている。
同じものが今も食べられるというのは、ロマンではないだろうか。「うさぎもち」はおいしいだけでなく、歴史的な偉人も認めた和菓子だった。
■店名 松木屋
■住所 静岡市駿河区西脇1058-1
■営業時間 9:00~18:00
■定休 水
(テレビ静岡)

