おいしい「茶粥」の作り方

お粥に使うお米は冷蔵庫の中で長時間吸水させてから炊き始めますが、茶粥の作り方だけは別です。以前に先に煮出して冷ましておいた焙じ茶に洗ったお米を入れて冷蔵庫の中で吸水させたことがありました。

茶粥に炒り黒豆の醤油漬けをのせて
茶粥に炒り黒豆の醤油漬けをのせて

ところが、お茶の色や香ばしさが劣化してしまい、茶粥に使うお茶は煮出したてが一番なのだと思い知りました。煮出したばかりの熱々の焙じ茶で洗ったばかりのお米を炊き始めることで、ふっくらしながらもパリッと粒立ちが良く、お茶の本来の色や香ばしさが発揮された茶粥に仕上がりました。

ちなみに、茶粥は強火で炊き続けるので、粘りの強いお米は吹きこぼれやすく作りにくいと感じます。作りやすさに加えて、茶粥の味わいの点からも、あっさりとした粘りのお米がおすすめです。

ひと工夫で広がる可能性

シンプルな白粥や茶粥に佃煮や梅干しなどをのせたり、水ではなく出汁から炊いてみたり、山椒や黒胡椒などスパイスを活用したり、ごま油をひとたらししたり、和風あんをかけたりと、ご飯とは違った楽しみ方ができるので、普段の食事にときどきお粥を登場させてみると、ごはん食がより充実するのではないでしょうか。

実山椒の醤油漬けで白粥にアクセント
実山椒の醤油漬けで白粥にアクセント

お粥にすると水を吸って量が増え、普段よりも食べるお米の量が減ってしまいますので、お米の消費拡大を目指す私にとってはお粥が日常食になってしまうのは少しだけ残念…と思わないわけではありませんが、それでも、きっとお米の楽しみの幅が広がりますので、冬のお粥を楽しんでみようかなと思うきっかけになれば嬉しいです。

「お粥を食べるのは七草粥の日か風邪を引いたときだけ」という人も、ぜひお粥を楽しんでみてはいかがでしょうか。

柏木智帆(かしわぎ・ちほ)
米・食味鑑定士、ごはんソムリエ、お米ライター

柏木智帆
柏木智帆

米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター。大学卒業後、2005年神奈川新聞社に入社、編集局報道部に配属。新聞記者として様々な取材活動を行うなかで、稲作を取り巻く現状や日本文化の根っこである「お米」について興味を持ち始める。農業の経験がない立場で記事を書くことに疑問を抱くようになり、農業の現場に立つ人間になりたいと就農を決意、8年間勤めた新聞社を退職。無農薬・無肥料での稲作に取り組むと同時に、キッチンカーでおむすびの販売やケータリング事業も運営。2014年秋より都内に拠点を移し、お米ライターとして活動を開始。2017年に取材で知り合った米農家の男性と結婚し、福島県へ移住。夫と娘と共に田んぼに触れる生活を送りながら、お米の消費アップをライフワークに、様々なメディアでお米の魅力を伝えている。また、米食を通した食育にも目を向けている。2021年から「おむすび権米衛」のアドバイザーに就任。
著書に『知れば知るほどおもしろいお米のはなし』(三笠書房)、『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)がある。