宮崎県の豊かな自然が育む海の幸や山の恵み。その中で、これまで活用しきれていなかった未利用魚や規格外の農産物に新たな価値を見出す取り組みが進んでいる。独自の技術とアイデアで魅力的な商品へと変え、一次産業の収入向上を目指している。

 未利用魚「オオニベ」の可能性を追求

2024年秋、宮崎市の中央卸売市場に「mahana」を立ち上げた遠藤英樹さん。

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千葉県出身の遠藤さんは、3年半前に宮崎市へ移住し、未利用魚や規格外農産物に新たな価値を付加する事業を展開している。

遠藤さんが揚げるのは、宮崎県の沿岸でよく捕れる「オオニベ」を使った天ぷら“ひな天”だ。

ほんのり甘く、ふわふわ食感がたまらない。

遠藤英樹さん:
オオニベが主で、豆腐や醤油、卵が入っている。オオニベは練ると身に弾力が生まれるので食べ応えがある。旨味が大量に出るので、白身が柔らかくおいしい。

捨てられていた部位に新たな命を

遠藤さんは、スーパーの切り身からは見えない部分に問題意識を持つ。オオニベは大型魚のため、約40%から半分もの部位が捨てられているという。

遠藤英樹さん:
移住者として、宮崎は食材の宝庫だと思った。有効活用できるすべはいくらでもあるのではないか。

天ぷら“ひな天”のほかにも、皮や骨、筋から出汁をとった「うしお汁」。

浮き袋は中華料理の高級食材「ユイトウ」に。

胃袋は韓国料理のチャンジャにするなど、これまで廃棄されてきた部位を有効活用する試みを続けている。

 規格外レモンを“宝”に変える独自の技術

遠藤さんの関心は水産物にとどまらず、果物にも及ぶ。

12月7日、遠藤さんは日南市の果樹園を訪れた。

4代続く果樹農家の伊地知伸宏さんが栽培するレモンだ。

このレモンは加工用として栽培されているが、スーパーにも並べられるほどの自信作だという。

小さいレモンは量り売りへ。

遠藤英樹さん:
傷がついたレモンは皮や種、傷もうちの機械では除外されて出てくるので、果汁がしぼれる。

伊地知伸宏さん:
台風の被害など、B品・C品が上がってくると、引き受けてくれると大変助かる。遠藤さんは、「1からチャレンジするってすごいこと。世の中に広がってほしいと思う。」と話す。

このレモンから、2024年に誕生した商品がレモンシロップだ。

遠藤さんの思いを形にするのが、特別な搾汁機である。この機械で搾汁するレモンについて、「B品で、とげが刺さって傷になったものも、機械で選別されるため問題ない」と説明し、「この機械で搾汁すると香りをフルに引き出せ、他の果汁機と比べ香りの量が2倍になることが分かった」と話す。

通常は捨てられる果汁を絞ったあとの皮や種は、匂いがネックとなり食用化が難しい「サメの食用化」技術に応用したいと考えている。

 一次産業の収入アップと全国展開へ

遠藤さんは「やったことがないことはたくさんある。誰かがやるなら自分でやりたいし、アイデア次第で可能性は広がる」と話す。

目指すのは、一次産業の収入アップだ。

遠藤さんは「まだ利用されていない農産物や未利用魚に光を当てながら、全国に当社のような施設が複数できれば、全国においしいものが増えるのではないか」と将来像を描く。

遠藤さん:
機械1台で、水産も農産も、まだ使われていない農産物や未利用魚をクローズアップしながら、全国にうちみたいな施設が何カ所かできるようになったら、全国においしいものが増えるんじゃないかなと思っている。

遠藤さんの挑戦は、宮崎の食材に新たな価値を与え、地域経済の活性化にも貢献することが期待される。

(テレビ宮崎)

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