2025年のプロ野球、セ・リーグは阪神が両リーグ史上最速で優勝し、パ・リーグはソフトバンクが2年連続でリーグ制覇した。日本シリーズでは、第5戦の延長11回までもつれた熱戦を制したソフトバンクが5年ぶり12度目の日本一に輝いた。
フジテレビ系列12球団担当記者が、そんな2025年シーズンを独自の目線で球団別に振り返り、来たる2026年シーズンを展望する。
2025年シーズンは最下位に沈んだロッテ。
振り返れば苦しいシーズンだったが、若手を積極起用するなど、明るい存在もあった。
特にドラフト1位ルーキーの西川史礁(22)は、シーズン前半、結果が出ない日々が続くも、サブロー新監督のアドバイスが新人王獲得につながっていた。
5年計画「VISION 2025」掲げるも…
球団が2021年に設定した「VISION 2025」と言う目標がある。
地域との共生やブランド力の向上など、2025年までには日本一を獲得して常勝軍団を作り出すビッグプランだ。そして、「その全ては、勝つために。」をチームスローガンに掲げスタートした勝負の一年。開幕カードでは、リーグ連覇を成し遂げたソフトバンク相手に、全て逆転勝ちでの3連勝。
「今年こそは!」と思える開幕ダッシュで幕を開けたが、すぐさま現実を見ることとなる。
打線は4月のチーム打率1割台、投手も左右のエース小島和哉(29)、種市篤暉(27)に勝ちが付かず、5月には去年21勝4敗と得意としていた西武相手に3戦連続完封負け。
両リーグ最速の20敗でベンチでは涙を流すキャプテン藤岡裕大(32)の姿があった。
来シーズンにつながる若手の積極起用
6月以降も1点が遠く、8月29日には優勝の可能性が完全消滅。
パ・リーグ全球団に負け越し8年ぶりの最下位に沈んだ。
それでもシーズン途中からは若手を積極起用。
昨季限りで退任した吉井理人監督も最終戦で「特に今年は若い選手のプロ初がいくつもあり、それを見るのが楽しみでした。」と語るように、野手では高卒7年目の藤原恭大(25)、高卒2年目の寺地隆成(20)、ルーキーの西川史礁が初めて規定打席に到達した。
プロ初本塁打は西川史礁、寺地隆成、友杉篤輝(25)、上田希由翔(24)、山本大斗(23)などがマークした。
シーズン通しては、西川が3本、寺地が5本、友杉は1本、上田は3本、山本は11本の本塁打を放った。
さらに、投手でも高卒の2年目の木村優人(20)がプロ初勝利を含む、プロ初完封、プロ初セーブ、ルーキーの廣池康志郎(23)育成出身の吉川悠斗(20) などもプロ初勝利を挙げた。
結果的には最下位に終わったが、投打で若手を積極起用し来年、数年後につながる1年となった。
若手 最終成績
藤原恭大:
107試合 打率.271 4本塁打 24打点 15盗塁
友杉篤輝:
116試合 打率.230 1本塁打 15打点 7盗塁
山本大斗:
107試合 打率.205 11本塁打 33打点
寺地隆成:
116試合 打率.256 5本塁打 33打点
廣池康志郎:
18試合 1勝3敗 4ホールド 防御率4.87
木村優人:
22試合 3勝2敗 5ホールド 1セーブ 防御率3.31
新人王!輝き取り戻したゴールデンルーキー
若手の中でも最も輝を見せたのがドラフト1位で入団した西川史礁。
1年目から規定打席にも到達し打率、安打数は新人の中ではトップの成績を記録。目標にしていた最優秀新人賞にも輝いた西川だが、シーズン序盤はプロの洗礼を浴びた。
西川:
「最初は苦しいことが多くて野球をするのが嫌なくらい本当に追い込まれていた」
「シーズン序盤は打てなくて自分自身のバッティングっていうのを見失って本当に苦しい時間が多かった」
オープン戦では打率4割超えをマークし、開幕スタメンを勝ち取ると、プロ初安打初打点と華々しいデビューを飾った。しかし、それ以降は成績が上がらず、4月上旬に二軍落ちする。
西川:
「頭でわかっていても中々プロの球、それにくわえてプロの変化球、変化量は違いを感じた。インコースを攻められる中でそれを完璧に打とうとしすぎて、逆にそれが裏目に出てバットが外回りして外の変化球も回ってしまうっていうダメな方向ばっかりいっていたので」
オープン戦とは配球が変わり苦しんだインコース攻め。
インコースを意識しすぎるあまり外の変化球も反応し、スイングの軌道にも支障をきたしていた。それでも二軍落ちの経験が西川のバッティングの形を作り上げることになった。
西川:
「一番最初ファームでは、悔しい思いだけで、思い描いいていた出だしと全然ちがって、そこでサブローさんが二軍の監督をされていて打撃について、いろいろ聞いた」
苦しんでいたにアドバイスを送ったのが当時のサブロー二軍監督(49)だった。
西川は、「今までポイントを前にしていたのを、サブローさんに中にして打てと言われた。それは時間かかるかもと言われたが、サブローさんの言うことを信じてやった」と語る。
記者が、「バットを折るシーンが結構あった。泳がされるのがいや?つまらされるのがいや?」と聞くと、西川は、「自分は前で打ちたい、詰まるのがいやだった。イントを近くにして、詰まるのを恐れないというを一番のテーマに、ファームから始めました」と語った。
アドバイスで打つポイントをこれまでより体に近い位置に変更。
しかし、シーズンまっただ中での決断。シーズン途中に2軍監督から1軍ヘッドコーチになっていたサブロー氏は当時について、「球団には、今年はないと思ってくれと言ってたくらい時間をかけてやろうと思っていたのがすぐできるんですよ!ゲームでもすぐできるのでその辺はセンス」と語る。
サブローヘッドコーチも舌をまく西川の対応力で1割台だった打率もシーズン終了時には3割近くまで上昇した。
そして、打撃上昇の理由の一つについて、西川は「毎日、試合終わりにノートを書いて今週の打率は何割以上とか自分で設定して、試合終わりには、その日の反省とか忘れないように今はやっています」と説明する。
デビュー1年目にして日々進化を求め、成長していった西川。シーズン前に予想していた数字には及ばなかったが、ハイレベルな新人王争いを制し、ここからスター街道を歩んでいく。
西川史礁 1年目の最終成績
108試合 打率.281 3本塁打 37打点 二塁打数27(リーグトップ)
新監督は「昭和流キャンプ」を宣言
2026年シーズン、吉井理人前監督(60)に代わり、借金28からの再出発を託されたのはサブロー新監督(前一軍ヘッドコーチ)。
ドラフト1位でロッテに入団し、選手として2005、2010年と2度の“下克上”日本一を達成。
2016年に現役引退してからは2軍監督などを務め、山本や寺地など現在一軍で活躍する多くの若手をファーム時代から指導していた。
2025年10月8日に行われた就任会見では、「ダントツの最下位ということで難しいチーム作りになると思う、甘さを取り除いて厳しい練習をして、若手が多いチームなので羽ばたけるチームにしていきたいと思います」と語った。
一方で、「今シーズンは僕が合流してから若手を使っていただきましたけども、来シーズンはまた話が別で。ベテランから中堅、若手まで含めて、本当に競争になると思います。一番いい結果を出した選手を使いたい」と起用方針を説明した。
2025年シーズンは若手を積極的に起用し、多くの経験を積ましたが、今シーズンは結果重視のサバイバル。
さらに、もうひとつ大きく変わる点がるという。
サブロー監督:
「今までと変わらず僕なりのコミュニケーションを取りながら、ただ練習だけは厳しいぞということだけは覚悟してもらいたい」
「今年の春、ファームのキャンプを都城でやったんですけど、めちゃくちゃ厳しい練習をした。その練習に耐えて1年間けがをする選手が少なかったし、技術的にもすごくパワーアップした。そのときの僕の中でのスローガンが『昭和のキャンプをやろう』っていうことだった。それはうちのチームに今一番足りないところだと思うので、秋、春は厳しいキャンプになると思います」
サブロー新監督も現役時代に経験した厳しいキャンプを宣言。秋、春のキャンプを乗り越えた先にどんな成長をファンの方たちに見せるのか…?新体制となったサブローマリーンズが、最下位からの逆襲を目指す。
(文・ロッテ担当 鹿島大夢)
