2025年のプロ野球、セ・リーグは阪神が両リーグ史上最速で優勝し、パ・リーグはソフトバンクが2年連続でリーグ制覇した。日本シリーズでは、第5戦の延長11回までもつれた熱戦を制したソフトバンクが5年ぶり12度目の日本一に輝いた。
フジテレビ系列12球団担当記者が、そんな2025年シーズンを独自の目線で球団別に振り返り、来たる2026年シーズンを展望する。
第1弾は、セ・リーグ3年連続Bクラスに終わった6位ヤクルトスワローズ。
2021年・22年の連覇から2年連続の5位。そして2025年は最下位に終わった。
今シーズン、スワローズを追い続けて見えてきた課題、2026年の展望は。
故障者続出…
2025年はフル戦力で戦えた期間が少なかった。
5年連続キャプテンを務めたミスタートリプルスリー・山田哲人(33)、2024年最多安打・ベストナインのツバメの安打製造機・長岡秀樹(24)、今年こそ完全復活を誓った特攻隊長・塩見泰隆(32)、2024年最高出塁率のサンタナ(33)などの主力が故障者リストに並んだ。
令和の三冠王・村上宗隆(25)も上半身のコンディション不良で開幕に間に合わず、4月に復帰するも再び負傷し、一試合で再離脱。
ここ数年攻撃面は良く、投手力が課題の中、頼りの攻撃面で得点出来ず勝利に結びつかない場面が多かった。
それでも山田哲人はコンディション不良から復帰し、今シーズン球団新記録の通算305号本塁打を7月に更新。史上49人目の通算1000得点も達成した。
シーズン終盤の9月には3本の本塁打を放ち、月間打率は3割を超えた。11月の契約更改では「ここ2、3年すごく悔しい思いをしている」というものの「8月、9月あたりからは何年ぶりの良いときの感覚というか、あの頃の感覚はあったので今はすごく良いイメージもできている。
感覚的にも理論的にも自分の中でわかった。こうやって打てばいけるというのを感じた」と明かした。来年はキャプテンから外れ、自分自身に集中し、あの頃以上の活躍が期待できる。
そしてメジャー挑戦を表明している村上宗隆は最後までヤクルトファンを、そしてプロ野球ファンを魅了した。
7月終盤に復帰すると1打席目でいきなり逆方向へのホームランを放った。この一発が狼煙を上げた。8月には一人バックスクリーン3連発。
シーズンが終わってみると試合数わずか56試合でリーグ3位の22本塁打。メジャーでの活躍を期待できる文句なしの成績を残した。
山田哲人 9月 打率.324 3本塁打 7打点
村上宗隆 今季 打率.273 22本塁打 47打点
新戦力への期待
主力選手が離脱する中、新たな戦力が輝きを見せた。
高卒5年目の内山壮真(23)はチームトップの打率、初の規定打席に到達。
捕手での選手登録だが外野を守り、1年間チームのクリーンナップとして打線を牽引した。
育成出身のリードオフマン・岩田幸宏(28)は持ち前のスピードを生かした守備範囲でセンターを守り、チームトップの14盗塁。そしてリーグトップの27本の内野安打を放ちチャンスメイクしてきた。
長岡秀樹の離脱時には、去年6試合のみの出場に終わった伊藤琉偉(23)がショートを守り、4月21日にはプロ初ヒット、延長10回にはサヨナラヒットを放った。
投手陣ではルーキー・荘司宏太(25)が45試合に登板し、防御率は驚異の1.05。
変則フォームから投げ下ろすストレートと決め球チェンジアップで打者を翻弄し、圧巻のピッチングで新人王に輝いた。
主力不在のチーム状況だからこそチャンスが生まれ、そのチャンスを掴み取った選手がたくさん出てきた。
新たな力を発見でき、これからのスワローズのためには必要不可欠なシーズンだった。
内山壮真 116試合 打率.262 8本塁打
岩田幸宏 126試合 打率.266 14盗塁
伊藤琉偉 87試合 打率.207 3本塁打
荘司宏太 45試合 防御率1.05
記者の目
2025シーズンは結果的に厳しい結果になったが、これからのスワローズのスター候補が続々と頭角を現し、ベテランも奮起した新生スワローズの未来が想像できるシーズンだったと思う。
投手陣では、育成で入団したルーキーのアンダースロー・下川隼佑(25)が育成では異例の一軍キャンプに同行し、指揮官の期待を感じた。
5月には支配下登録されプロ初勝利も挙げ、先発だけでなく中継ぎも担い、チームの課題である投手力に厚みを持たせてくれた。
2025年シーズンから現役ドラフトで活躍した矢崎拓也(30)は、ケガも無くフル回転の活躍で登板数は45試合、防御率1.93と存在感を示した。
クローザーも務めた石山泰稚(37)も42試合に登板し、防御率も2.21、5月には史上9人目となる通算100ホールド&100セーブを達成した。
現役最年長の石川雅規(45)は昨季自己ワーストの1勝に終わり今季は2勝と厳しい結果が続いているがプロ野球記録の新人から24年連続勝利は継続している。
200勝の大記録まで12勝という数字に石川は「200勝とういう目標はあと一歩踏み出せる源であり力になっている。
その目標を超えた景色を見たいし足掻き続けたい」と意気込みを語った。「一番嬉しいのは近々の勝利、一番悔しいのは近々の負け」そう語る小さな大投手は次の喜びのため、そしてチームのために腕を振り続けるだろう。
村上宗隆の穴は
そして、今季一番の懸念点は、やはり村上宗隆の穴を埋められるか。
チームはその大きな課題解決へ試行錯誤を重ねている。
山田哲人のファーストとサードへのコンバート、内山壮真は今季外野での出番が多かったが高校時代に守っていたショートへのコンバートを命じられた。
松山での秋季キャンプでもショートを守り軽快な動きでアピールを続けている。
2026年1月からGMを務める青木宣親氏はGM就任会見で「スターがいなくなれば新たなスターが生まれる、競争してほしい」と言い新たなチーム編成を考え既に来季を見つめている。
さらに豪快なスイングから“ブンブン丸”の愛称で親しまれた池山隆寛氏が新監督に就任し、青木GMと同じく「競争」をテーマに掲げ、競い合い新たなスターが誕生することだろう。
新監督の明るい性格に選手達は秋季キャンプで大きな声を出し、活気に満ちあふれた練習をしていた。
自らバッティングピッチャーを務めるなど選手達との距離も近く新しいチームがこれから出来上がっていくと感じた。最下位からの下克上へ、池山新監督が手腕を“ブンブン”回し、新たな風がスワローズを優勝へ羽ばたかせるだろう。
(文・ヤクルト担当 野村泰貴)
