海上保安官・船舶料理士の経験を生かして暮らしに役立つ情報を発信する川崎みささんは、2018年の西日本豪雨の際、まったく備えをせずに自宅で被災。「子供達の被災期間をより過酷にしてしまった」という反省から、災害への備えを学び、「ひろしま防災Jプログラムトレーナー」の資格を取得。そんな、2児のママでもある川崎さんに、「節水」に役立つアイテムを教えてもらった。
写真・文=川崎みさ
西日本豪雨で被災したとき、災害の影響で一番困ったのが約1カ月間の断水でした。水が手に入らず四苦八苦しながらの被災生活は、「水」が暮らしの中でいかに重要な要素であるのかを思い知る毎日でした。
また被災中は、同じように真水が手に入らなかった海上保安庁の大型巡視船での長期航海を思い出すことも多く、なぜ上官が何度も「常に節水を心がけよ」と言っていたのか、災害を経験してようやく分かるようになりました。
備えが足りなかったせいで、被災期間をより過酷なものにしてしまったわが家では、家に水を備蓄するだけでなく「節水」につながるアイテムも備えるようになりました。なぜなら、実際に大規模災害で被災してライフラインの復旧までに予想以上に時間がかかったこと、家に備蓄できる水の量にも限りがあるので、なるべく備蓄水は飲料に回したいと思ったからです。そこで、海上保安官としての経験を基に、被災後に7つの「節水アイテム」を防災グッズとして加えることにしました。
使い捨ての食器類
断水中は、食器を洗うことができなかったため、不衛生な状態の食器を毎日使っていました。使い捨ての食器類は食事の度にゴミが出ますが、災害時には疲れやストレスで体調を崩しやすくなることもあり、「衛生さ」を保つことが大事。貴重な水を使わずに安心して食事ができる使い捨ての食器類を、被災後から備えるようになりました。
ポリ袋やラップを皿やお椀に敷いて汚れを防ぎつつ食事をする方法もありますが、わが家の子ども達には使いにくかったことから(滑って食器を落とす、食べづらいなど)、100円ショップで使い捨ての食器類を購入。
災害時は精神面でのダメージも大きく気分が沈みがちになります。海上保安庁の巡視船で船舶料理士として食事を作っていた頃に、「任務が大変な時こそ、しっかり食べて力を付けて欲しい」と、少しでも乗組員の食欲が湧くように盛り付けや器選びを工夫したことを思い出し災害用の使い捨ての食器類は、あえて可愛いモノを選び、非常時でも子ども達が食事を楽しめるように工夫しています。
そのまま食べられる非常食
被災するまで、「非常食」というとカップ麺や乾パンのイメージが強かったのですが、両方とも食べる際には多くの水が必要です。
実際に災害で断水を経験し、水をたくさん使う食品は、非常食としてあまり向いていないと思うようになったため、わが家の非常食には水をたくさん使わなくても食べられるような食品(または使用した水は全てムリなく摂取できるような食品)をストックするようになりました。
