「一世一代の大仕事」 逆転サヨナラ満塁ホームラン伝説
徳光:
末さんのやっぱり、逆転サヨナラ満塁ホームラン。
1976年、これは本当に忘れられない。このホームランの思い出をお話しいただけませんかね。

末次:
いやあれはね、あの時だけは本当に自分じゃなくなりましたもんね。
はち切れたっていうか。

徳光:
あれは状況としまして、王さんが敬遠からのフォアボールで出られたんですよね。
それで山本和行さんですよ。代わったんですよね。
末次:
なんで代わったのかと思ってね。
徳光:
代わったことによって、あれですか。
末次:
左ピッチャーは僕大好きでしたからね。
性格も彼は、意外とさっぱりしてるんですよね。
ファウルに粘ってると、そのうち真ん中投げてくんじゃないかなっていう。
案の定、近くへ投げてきましたよね。
[藤田平(77)1965年ドラフト2位
首位打者1回。通算2064安打の名ショート。ベストナイン7回・ダイヤモンドグラブ賞3回]
徳光:
ただあの時にですね、藤田平が山本和行のところに行ったのを覚えてますかね。
末次:
なんか行ってましたかね。
2025年9月16日放送
山本和行:
逆転サヨナラ満塁ホームラン。末次さんに。
フォアボールになってもいいからフォークボールで行こうと思ったんですよ。
藤田平さんがファーストだったんですよ。
でファールになって、藤田平さんがマウンドに来たんですよね。「インコース狙ってると思うで」って、こうやって言われたんですよ。
そういうことなのかな、じゃあフォークボールで行こうと思ったけど、裏をかいて外の真っすぐいこうって投げたらコンと打たれちゃったって。
徳光:
そんなことがあったんですか。

徳光:
山本さんは外角に投げたっていう。
末次:
それはちょっと甘く入ってきた。
徳光:
打った瞬間にホームランって分かりました?。
吉田:
ホームランだった。もう瞬間。僕らも見てて。

末次:
もう完璧だと思って、それでホームに向かってきた時に、見た時に、長嶋さんが(三本間の)半分ぐらいのところでもう。
ホームプレートのところじゃないんですよ。もう半分ぐらいのところにカーって来てるんですよ。
カメラマンもあの時は、サード側も1塁側も両方いて、どっちが出るのかなと思って新聞見た時に、いっぱい長嶋さんの方(の写真)が出てましたね。
徳光:
そうですね。
でも、末次さんの野球人生の中でも忘れないシーンでしょうね。
末次:
最高のですよね。
徳光:
翌年の末次さんですけども、オープン戦の試合前にアクシデントがあってという。

[1977年3月20日、練習中の末次の左目に打球が直撃。後遺症により同年での現役引退を余儀なくされた]
末次:
一番安全なところにいたのに、センターのバックスクリーンの真下ですよ。
それで淡口がレフトで、淡口とキャッチボールやってたんですよ。

普通、前に守ってる人が、「行った」とか言うんですよ、「危ない」とか。その声がまったくなかったんですよ。
だからもう、目を開けたまま、眼球にボールの縫い目がつくぐらい。
そのぐらいもろに当たったんですよ。

[アクシデントの前年は34歳。119試合に出場して打率.281]
徳光:
末次さんとしましては、前の年の逆転満塁ホームランもあるし、「いよいよこれからだ、俺の出番だな」っていう感じはあったわけでしょ?
末次:
一番いい時だったんですよ。自分でも本当にいい感じでつかんできた矢先だったんでね。残念は残念でしたけどね。
徳光:
吉田さんはその後、長島監督のあとの藤田監督、さらに王監督の1年目(1984年)まで現役を続けられたということで。

吉田:
専任コーチになる予定だったんですけどね。専任コーチになると給料下がるんですよ。
徳光:
コーチはそうなんだ。

吉田:
そうなんですよ。王さんがね、「兼任」でやれと。そしたら給料下がらないだろう。王さんの恩情ですよ。
徳光:
王さんも憎いな。

吉田孝司の巨人での実働年数は19年。王貞治(22年)、森昌彦・柴田勲(20年)に次ぐ球団歴代4位タイ。
吉田:
そうですよ。その代わりに、みんなの先頭に立ってやってくれよと。「全然まだ体力がありますから大丈夫ですよ」と。
徳光:
でもその間にですね、やっぱり西本だ、江川だ、育ってきてるわけじゃないですか。
これはもう本当に吉田さんの力が大きいと思うんでありますけども。

[西本聖(69)1975年ドラフト外入団
シュートを武器にドラフト外最多の165勝。1989年、中日に移籍して20勝を挙げ最多勝。沢村賞1回]
吉田:
やっぱり西本は本当によく練習しましたね。やっぱり意思がすごく強い。頑固ですね。
僕もそれ知ってるから、もうシュート、シュート、シュート、全部シュートなんですよ。
徳光:
江川はどういうふうに映ってらっしゃいました。

[江川卓(70)1978年阪神ドラフト1位
「江川騒動」を経て小林繁とトレードで巨人へ。高校時代から数々の“怪物・江川”伝説を残す]
吉田:
ボールが違うんですよ。
ランナーがいないときは適当に放るでしょ。
ランナーが出ると、ウィーンと。
徳光:
一気にギアを上げると。
吉田:
真っ直ぐとカーブだけで抑えちゃうんですよね。

[吉田孝司は引退後、巨人バッテリーコーチを経てスカウト・編成部長。2012年から横浜DeNAの編成・スカウト部長を経てGM補佐も務めた]
徳光:
吉田さんのこういうお話を伺いますと、やっぱり違う形ですけども、江川も西本もプロだなという感じしますよね。それぞれ個性がありますね。

[末次利光は引退後、巨人の打撃コーチ・2軍監督などを経てスカウト部長・編成部長も務めた]
徳光:
末次さんは、長嶋さん、王さん・王さん、長嶋さんのあとを受けまして、常にバッターボックスに立ってらっしゃいました。
その今、長嶋さんが泉下に眠られているということになりますけど、もしひと言声をかけるとすると、どんなお言葉になりますかね。
末次:
やっぱりあれですよね、長嶋さんのゲームに対する情熱っていうんですかね。
こういうものって、僕は今でもね、継いでいくものだと思うんですよ。
若い選手でも平気で2ストライクから、ド真ん中見逃して帰ってくるじゃないですか。
長嶋さんだったら、絶対ああいうことないですよ。
あの打席での執念というものは、ものすごいものがあったし。
そういうものというのは、絶対継いでいかなきゃいけないなと、僕はそう思いますね。
徳光:
なるほどね。きょうはどうもありがとうございました。長時間本当にありがとうございました。
末次・吉田:
ありがとうございました。
(BSフジ「プロ野球レジェン堂」 2025年9月30日放送より)
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