ブナの原生林に囲まれた秋田・藤里町の民泊施設「清流荘」が、休業から4年ぶりに再び宿泊客の受け入れを始めた。再開を担ったのは地域おこし協力隊の25歳の若者。地域資源を生かした観光の新しい形を模索している。
休業から再開へ 若者の挑戦
世界自然遺産・白神山地の麓、藤里町藤琴にある民泊施設「清流荘」が、4年ぶりに営業を再開した。
1983年に建てられ、長年登山客や観光客に親しまれてきたが、スタッフの高齢化により2021年に休業。再開を望む声はあったものの、人手不足で実現できない状態が続いていた。
営業再開を担ったのは、藤里町地域おこし協力隊の佐藤成希さん(25)。
奈良県出身の佐藤さんは、大学卒業後に東京や奈良で勤務。環境問題への関心から2024年に「生物多様性国際ユース会議」に参加し、自然と共生する生き方を志すようになった。
その後、藤里町の地域おこし協力隊に応募し、2025年4月に着任。最初の大きな任務が「清流荘」の再開だった。
地域と共に準備 4年ぶり待望の再開
佐藤さんは着任直後から観光協会と協力し、夏の再開を目指して準備を進めた。
6月には町民有志13人と共に「清流荘ピカピカ大作戦」と題した清掃イベントを開催。地域の人々と力を合わせて施設を整備した。
そして、地域の人が連綿と紡いで守ってきた清流荘は8月1日に営業を再開した。
11月上旬までに国内外から29組が宿泊。藤琴川での川遊びや紅葉狩りなど、自然を満喫する利用者が訪れた。
居間には地元住民が手作りしたクマ除けの鈴も置かれ、温かみある施設として好評を得ている。
冬に向けた新たな展開
行楽シーズンが終わり、冬を迎える清流荘。
佐藤さんは「冬キャンプ」として施設前のスペースを活用する計画を進めている。キャンプ場としての許可も取得済みで、四季を通じて藤里町を楽しめる拠点づくりを目指す。
観光拠点としての未来
「宿泊だけでなく、ガイド協会と連携し、白神山地のフィールドも含めて藤里町を楽しんでもらえる観光の在り方をつくっていきたい」と話す佐藤さん。
清流荘は地域資源を生かした持続可能な観光拠点として、新たな一歩を踏み出した。
(秋田テレビ)
