親に持ち家や土地などがある場合、その売却額を査定しておきましょう。年金額は2カ月分が振り込まれるので、月額に換算して考えます。賃貸に住んでいる場合には、現在支払っている家賃を施設の月額費用に充てることを考えて予算を立てることもお忘れなく。
親に聞いてもあいまいな言い方しかしない場合、年金額や資産額を書き入れる表をつくってそれに記入してもらいましょう。かたくなに教えてくれない場合は、資産や年金がかなり少ないか、借金を抱えている可能性もありますので注意が必要です。
施設の場所選びで大切なこと
Q.施設は親の地元?子どもの家の近く?
A.「場所」より「施設そのもの」で選んで
「施設選びでゆずれない条件は?」と聞くと、必ず出てくるのが「場所」です。ほとんどの人は「親の地元」か「子どもが通いやすい場所」かで迷うのですが、私はどちらも重要ではないと思います。
住み慣れた場所がいいと言っても、介護度が進むと一人で外出することはほとんどありませんし、友人も高齢で訪ねてくることも少ないでしょう。
では、子どもの通いやすさで決めていいかというと、それも違うと思います。入居したのですから、在宅介護のように頻繁に訪ねる必要もないでしょう。
いちばん重要なのは何かというと、施設そのもののよさです。介護度や体調に合わせたサービスが受けられ、室内の住み心地がよく、食事の満足度も高い、そんな施設かどうかという視点で選んでほしいのです。けれど多くの人は、施設を「予算と場所」で決めてしまいます。
たいていの場合は緊急で施設探しをするのでその2つ以外は「しかたない」と譲歩します。でも、施設は人間が24時間暮らす場所なのです。予算はやむを得ないとしても、場所がそこまで大切だとは思えません。
私自身が将来入居したいと思っているのは、私の人生に縁もゆかりもない地方の施設ばかりです。場所ではなく、「ここで暮らしたい」と心から思った施設に入居するつもりです。
地方の施設は都市圏よりも安いのも魅力のひとつです。……と話しても、最終的には「親の地元」か「子どもの家の近く」かで決める人が多いのは揺るぎない事実。それぞれの場合のメリットを上にまとめましたので、ご参考まで。
上大岡トメ
イラストレーター、山口県在住。著書に『キッパリ!たった5分間で自分を変える方法』『老いる自分をゆるしてあげる。』『遺伝子が私の努力も才能も決めているの?』(ともに幻冬舎)など多数。本書の前作『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』(主婦の友社)も。
畠中雅子
ファイナンシャルプランナー、「高齢期のお金を考える会」代表。2002年から始めた高齢者施設の見学は300回を超えるなど、高齢者施設への住み替えについてもくわしく、アドバイスなどを行っている。『70歳からの人生を豊かにする お金の新常識』(高橋書店)など著書多数。
