「年を取った」と老いを感じたとき、ついあらがおうとしてしまうこともある。しかし、加齢に伴う体の衰えや病気はそもそも「仕方がないこと」だと生物学者の池田清彦さんは言う。

現在78歳の池田さん自身、老いを感じながらも「仕方ねえな」とはね飛ばし、虫取りや家庭菜園などの趣味に興じている。老いることででできなくなったこともあれば、今だからこそできることもあると日々実感しているそうだ。

生物学者の視点から「老い」と死の正体を解き明かす、著書『老いと死の流儀』(扶桑社新書)から、日常の中の“ちょっと面倒くさい”ことに取り組む大切さについて、一部抜粋・再編集して紹介する。

体にやさしいのは「規則正しく過ごすこと」

規則正しい生活が健康の鍵だと言われるのは、周期的なリズムに沿って働くのが体にとってもっとも負担が少ないからです。

若いうちは多少でたらめな生活をしていても修復力も高いので、なんとかなるのですが、年を取ってからも毎日バラバラな時間に寝起きしたり、食事をしたりするのは、体にとってはとても酷なことなんです。

仕事だってそうですよね。

いろんなシフトがあって、朝働いたり、夜働いたりするのと、毎日同じ時間に働くのとでは、疲労度がまったく違うはずです。

起きる時間や寝る時間などは一定に保ってみよう(画像:イメージ)
起きる時間や寝る時間などは一定に保ってみよう(画像:イメージ)
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なかなかそうはいかない状況の人もいるでしょうし、若いうちはそれでもいいと思いますが、年を重ねたら可能な限り、起きる時間や寝る時間、そして食事の時間などは、なるべく一定に保つほうが老化は遅くなると思います。

昔の人は朝日とともに起きて日暮れとともに寝る生活をしたからみんな健康だったなどと言われたりしますが、そのような生活は多くの現代人にとってあまり現実的ではありません。

無理にそうしようとすると、かえってストレスが溜まる結果になる危険性もあるんじゃないでしょうか。

だから、何時に起きて、何時に寝るとか、何時に食事をするといったリズムは、自然に無理に合わせるのではなく、自分で決めればいいと思います。

いいか悪いかは別として現代は電気がありますから、必ずしも自然の光に合わせなくても、自分なりの安定したリズムをつくることはできますからね。

私も寝るのはだいたい夜中の1時くらいで、起きるのは9時くらいなので、日暮れも朝日も無視していますが、基本的には毎日同じリズムで寝たり起きたりしているので体調は安定していますよ。

前立腺肥大があるので夜中に多いときは3回くらいトイレに起きることもありますが、寝不足を感じることはなく、だから昼寝も私には必要ないようです。