美味しい料理が作れるのが魅力の「鉄フライパン」。重さもあってさびやすいことから、「扱いが大変」というイメージが強いかもしれない。
しかし、大切にケアすれば愛着も湧き、“一生もの”として使える調理器具にもなる。
鉄フライパンのケアや保管はどんなことに気を付けたらいいのだろう。フライパンの製造販売を手掛ける調理用品メーカー「和平フレイズ」の藤江里美さんと星野和彦さんに話を聞いた。
欠かせない油ならし
鉄フライパンを使う上で欠かせないのが、フライパン全体に油をなじませる「油ならし」の作業。藤江さんによると、これを行うことで、焦げやさびが付きやすい鉄のデメリットを解消することができる。
「本来、鉄フライパンには表面のコーティングがなく、鉄がむき出しの状態であることが理想ですが、流通のさび止めを目的としたシリコーン塗装がごく薄く施されているものがほとんどです。
あくまでも流通上のさび止めのため、すぐに取れてしまい、こびり付きの発生に繋がります。そこで油ならしをして“天然の膜を作る”ことで、コーティングの代わりの役割を持たせるのです」
そんな油ならしのポイントは、「油を弱火でゆっくりとなじませる」こと。
「弱火にすることで油と酸素がしっかり反応する時間ができ、フライパンの表面にしみこみ膜が形成されるようになります。強火にすると、均一な膜ができなくなってしまうので火力には注意してください」
油ならしは購入直後の使い始めのほか、さびや焦げが付いて取り除いた後にも必ず行ってほしいそうだ。
油膜を作って使いやすく
このような一手間で、一生ものとして「育てる」感覚を味わえるのが鉄フライパンの醍醐味だろう。星野さんによると、育っている状態も、次第に目に見えて分かるようになるそう。
