2025年度全国で最多のクマによる死者が出ている岩手県内で、深刻化するクマ被害対策の最前線に立つハンターへの報酬に大きな差があることが明らかになった。FNNの調査によれば、自治体によって報酬体系や金額にばらつきがあり、ハンター不足解消に向けて半数以上の自治体が増額を検討している。

自治体ごとに異なる報酬体系

深刻なクマ被害が続く岩手県では、2025年度にクマに襲われて死亡した人が11月13日時点で5人に達し、全国で最多となっている。

 
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盛岡市街地に出没したクマ、すぐ目の前にクマが…
盛岡市街地に出没したクマ、すぐ目の前にクマが…

こうした状況のなか、捕獲を担う猟友会のハンターが不足しており、その要因の一つとして、危険度に見合わない報酬の低さが指摘されている。

ハンターへの報酬について、FNNが岩手県内33市町村に行ったアンケート調査には21の自治体から回答があり、報酬体系には次のような違いが見られた。(10月調査時点)

▼1頭あたりの駆除
▼時給
▼日当
▼わなの設置や輸送

具体的な金額にも大きな差が存在する。

遠野市ではハンター1人に対して最低賃金と同じ時給952円と設定している。

一方、一戸町では1頭の駆除につき猟友会に対して5万円、さらにハンターには時給1500円を支払っている。

また、平泉町では市街地にクマが出没した場合、自治体の判断で発砲することができる「緊急銃猟」の報酬として、ハンター1人あたり3万円を設定していた。

報酬増額の動き広がる

調査に回答した21市町村のうち、すでにハンターへの報酬を増額したのは滝沢市、一戸町、岩泉町、大槌町、普代村の5自治体。

遠野市や洋野町など13の市町村が今後の報酬増額を検討していると回答した。

大槌町は「猟友会の意向があれば柔軟に対応したい」、大船渡市では「緊急銃猟に関する報酬を通常の報酬より拡充を検討している」としている。

一方、ハンターへの報酬などに充てるため、国からの交付金を受けているのは16市町村で、このうち10市町村が「不足している」、4市町が「今後不足するとみられる」と回答。

国から交付金を受けている16市町村のうち14市町村が交付金の増額を求めると回答した。

国に対する要望として「報酬の金額を国で統一してほしい」「報酬の上限と下限といった目安が必要だ」などの意見があがっている。

10月北上市の温泉施設従業員がクマの被害に 猟友会などが捜索・クマを駆除
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ハンターの確保につながる報酬の見直しは、クマから地域の安全を守る上で欠かせない課題となっている。自治体間の格差是正と国からの支援強化が求められている。

岩手めんこいテレビ
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