テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」でお天気コーナーを担当している気象予報士・古山圭子さんが天気の豆知識を解説するコーナー。今回は、「熱帯低気圧と温帯低気圧の違い」についてお伝えします。

天気ことわざ「月夜の大霜」と放射冷却の関係

11日の朝、宮崎県内各地では冷え込みが強まりました。古山予報士によると、この冷え込みのヒントは、前日10日の夜空にあったといいます。ここで視聴者から寄せられた写真を紹介する「みやそら通信」のコーナーです。

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この日紹介されたのは、延岡市で日高利昭さんが撮影した1枚。夜空に浮かぶ月の周りに、雲が虹色に反射して美しく輝いています。そして、月のすぐそばには木星もくっきりと見え、天体ショーの光景が広がっていました。

古山予報士は、この写真が示す状況にぴったりな、天気に関する古いことわざを紹介してくれました。「月夜の大霜(つきよのおおじも)」というものです。

これは、「月が美しく見えるほどよく晴れた夜の翌朝は、放射冷却によって地面の熱が奪われ、冷え込みが強まって霜が降りるほど寒くなる」という意味のことわざです。

雲は、地面の熱が宇宙へ逃げていくのを防ぐ「布団」のような役割を果たしますが、雲ひとつない快晴の夜は、その「布団」がない状態。そのため、地面の熱はどんどん放出され(放射冷却)、地表近くの温度が急激に下がります。

このことわざの通り、11日の朝は冷え込みが強まり、五ヶ瀬町では2℃と、今シーズンで最も低い気温を記録。北部山沿いでは霜が降りるような冷え込みとなりました。昔からの言い伝えが裏付けられた形です。

ちなみに古山予報士は「しも(霜)た!予想以上に冷えてしも(霜)た!という所もありました」と、宮崎弁の「しまった」と「霜(しも)」をかけたコメントで、スタジオを和ませていました。

「温帯低気圧に変わる」は安心できない!台風との違いとは?

この寒さで台風にも変化がありました。台風26号の予想進路を見ていきます。

 台湾の南西海上にある台風26号はこのあと東寄りに進路を変えて沖縄に近づく予想ですが、金曜日には「温帯低気圧」に変わるとの予報です。

熱帯低気圧と温帯低気圧の違い

実は昨日までは、「熱帯低気圧」に変わるという予報でした。「温帯低気圧」という言葉、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。「台風より弱まる」「もう安心」と思っている方も少なくないかもしれません。

まず「熱帯低気圧」は、台風の勢力が弱まったもので、どちらも暖かい空気だけでできた、いわば「暖かい空気の塊」です。構造は同じで、エネルギー源は海からの水蒸気が凝結するときの熱です。

一方、「温帯低気圧」は、南からの「暖かい空気」と北からの「冷たい空気」がぶつかり合うことで発生します。エネルギー源が全く異なるわけです。そのため、「温帯低気圧に変わる」というのは、勢力が弱まるわけではなく、むしろ、雨や風の範囲が台風の時よりも広がるという性質があるのです。

今回のケースでは、台風から変わる温帯低気圧と前線の影響で、宮崎県内は12日の午後から雨が降り始めて、13日の午前を中心に雨脚が強まる時間もありそうとのことです。

「温帯低気圧に変わる」という言葉を聞いても油断せず、雨や風の予報に注意することが大切です。

(テレビ宮崎)

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