10月28日、天皇皇后両陛下主催の「秋の園遊会」が赤坂御苑で開催される。
今回は、今から20年前に「秋の園遊会」を取材した平成17(2005)年11月13日放送「皇室ご一家」(第1348回 秋の園遊会)を振り返る。
この園遊会は翌月に結婚を控えた黒田清子さん(当時の紀宮さま)にとって皇族として最後の参加となった。
なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。上皇ご夫妻を「天皇皇后両陛下」、現在の両陛下を「皇太子ご夫妻」、黒田清子さんを「紀宮さま」などと記載する。
各界から約1700人が出席
天皇皇后両陛下主催の秋の園遊会が、10月27日、東京・赤坂御苑で開かれました。
この日は、各界の功労者ら1700人が出席。

紀宮さまは、皇族として最後の園遊会となりました。
《宇宙飛行士・野口聡一さんと陛下のやりとり》
陛下:
よい成果を収められて、今後の宇宙の問題についていろいろな問題が…理解が進んできたのではないでしょうかねぇ。
野口さん:
そうですね。あとは子供たちに宇宙の夢をどんどん伝えていきたいと思っております。
陛下:
ずいぶん、小学生とか会われたんじゃないですか?
野口さん:
そうですね。はい本当に熱狂的に迎えていただいて、小っちゃな絵をね、頂いたりとか、作文を頂いたりして、本当に恐縮しています。
陛下:
多くの人に夢が与えらたのではないでしょうか?
野口さん:
そうですね。本当にそういう形で、夏休みの夢とか思い出となって、子供たちに生きていけばいいなと思っております。
《愛知万博日本館総館長・竹下景子さんと陛下のやりとり》
陛下:
大勢の人々が、楽しむ場として、意義深いものを感じたんではないでしょうか?
竹下さん:
たくさんの人にお出でいただきましたし、また、日本が未来に向けて、これからどうして行けばいいかという呼びかけが出来たことが、多くの方にも感動を呼びましたので、そのことが大変良かったと思いました。
陛下:
半年間、ずいぶん忙しかったのではないですか?
竹下さん:
でも、大変楽しゅうございました。お客さまにも喜んでいただけましたし、それから日本館のたくさんのスタッフと心をひとつにして仕事が出来たという思いがありますので、そのことが大変良い経験になりました。
陛下:
それは良かったですね。
《両陛下と日本ベトナム親善大使 杉良太郎さんのやりとり》
陛下:
ずいぶん、何回も訪問されて、各地を訪れられたんでしょう?
杉さん:
ベトナムは少数民族でございますし、多様な文化や習慣がございますので、それらを日本に紹介したいと思います。これからは日本の学生とベトナムの学生による映画による選手権大会をやっていこういと思います。
陛下:
映画による選手権大会…というのはどういうことなんですか?
杉さん:
小学生から大学生まで、ホームビデオで映画を撮っていただいて、それを文化の交流としまして、チャンピオンを作ると…。そして日本でアカデミー賞をあげようと。映画による子供たちが作った映画に対して、アカデミー賞をあげましょうという、そういう交流をやっていこうと思っております。
陛下:
よい成果があがるといいですね。
杉さん:
ありがとうございます。家内の伍代夏子です。
両陛下をはじめ皇族方は、およそ1時間、出席者と和やかに歓談されました。
常陸宮ご夫妻「世界文化賞」授賞式へ
常陸宮ご夫妻は10月18日、東京・港区の明治記念館で行われた「第17回高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式に出席されました。
国内外の優れた芸術家に贈られる世界文化賞。常陸宮さまは、この賞を主催する日本美術協会の総裁を務めていらっしゃいます。
今年の受賞者は、まず絵画部門でアメリカのロバート・ライマンさん。
ファッションデザイナーとしても知られる三宅一生さんが彫刻部門で受賞。
日本からはさらに建築部門で谷口吉生(よしお)さんも受賞しました。
音楽部門では、アルゼンチンのマルタ・アルゲリッチさん。
そして演劇・映像部門ではアメリカのマース・カニングハムさんが受賞しました。
《常陸宮さま おことば》
芸術家の皆様の輝かしい作品は、地球上のすべての人々が理解し、感動する希望の灯火でもあります。
《常陸宮さま おことば》
この賞が今後一層発展し、平和を求める世界の人に大きな希望を与えることを願うとともに、受賞者の皆様が今回の受賞を機に、さらに業績を重ね、益々、研鑽を積まれることを願ってやみません。
常陸宮ご夫妻 ニカラグアとエルサルバドルへ
ところで常陸宮ご夫妻は、10月初め、中央アメリカのニカラグアとエルサルバドルを訪問されました。
このご訪問は、日本とニカラグア並びに、日本とエルサルバドルとの国交樹立70周年を迎えるに当たって、両国政府からの招きにより実現したものです。
最初の訪問国ニカラグアは、日本のおよそ3分の1の面積に550万人が暮らしています。
国交樹立70周年を記念して造られた日本ニカラグア公園での祝賀行事に出席されたご夫妻。日本の皇族が、ニカラグアを訪問されるのは初めてです。
ニカラグアご滞在は、3日間という短いものでしたが、この間、首都マナグアや1524年にスペイン人が最初に創設した町グラナダなど各地を見て回られました。
古都グラナダの博物館では先住民が造ったと言われる石像を鑑賞されました。
2番目の訪問国エルサルバドルは、コーヒーや砂糖の生産が盛んな農業の国です。面積は九州のおよそ半分で、人口は650万人。
ご夫妻が訪問された10月初めは、ハリケーンによる土砂崩れや火山の噴火によって、国内は大きな被害を受けていました。
ご夫妻は、急遽予定を変更され、避難所での生活を強いられている人々をお見舞いになりました。
この国では、4年前の大地震や長く続いた内戦のために復興が遅れています。ご夫妻は、そんな中でも元気に暮らしている人たちにやさしく声をかけ励ましていらっしゃいました。
青年海外協力隊発足40周年記念式典
10月29日、天皇皇后両陛下は、東京・渋谷区のNHKホールで行われた青年海外協力隊の発足40周年記念式典に出席されました。
世界各国で様々な分野で協力や援助をしている海外協力隊。海外に渡った隊員はこの40年間で、2万7000人を超え、現在2600人が73カ国で活躍しています。
式典に先立ち、帰国隊員らと懇談された両陛下。
陛下は、最初に派遣された隊員とお話ができたことを喜び「皆さんが新しい隊員と協力して、さらに各地での協力の輪を広げていくことを願っています」と述べられました。
紀宮さまの結婚を祝う茶会
11月15日の結婚式を前に、10月26日、皇居で紀宮さまの結婚を祝う茶会が催されました。
この茶会は両陛下が主催されたもので、結婚式までに4回開かれ、およそ400人が招かれました。
この日は、紀宮さまがお生まれになった時の医療スタッフや母校学習院の関係者ら70人が出席しました。
運転免許の取得や鳥類の研究をまとめた本の出版とお忙しい毎日を過ごされている紀宮さま。ご結婚まであとわずかです。
(「皇室ご一家」第1348回 平成17年11月13日放送)
