秋の深まりとともに、石川県七尾市の特産品「能登かき」の出荷が本格化している。9月から水揚げが始まり、これから冬にかけてがシーズン。多くの人が毎年この味覚を楽しみにしているという。そんな能登かきの魅力と、おいしい食べ方を教わりに七尾市へ向かった。
生産者の声「今年も頑張ろう」という気持ちに

七尾市中島町の名産と言えば「能登かき」9月から今シーズンの水揚げが本格化した。今回は、石川テレビの稲垣真一アナウンサーが、七尾市中島町の山口水産、山口翔太さんのもとを尋ね、話しを伺った。

シーズンが始まった時の心境について聞くと山口さんは、「今年も頑張ろうという気持ちになります」と話す。

二人の目の前には、こんろに銀色の四角い缶のようなものが乗せられている。これについて山口さんに聞くと、「牡蠣の蒸し焼き、ガンガン焼きです」と教えてくれた。缶のまま、牡蠣を焼くことでおいしくなると言う事だが、まだ出来上がっていないという事で、のちほどのお楽しみに…。

山口水産では、殻付きのままの“能登かき”と、殻を取り除いた「むき身」の2種類を販売している。

奥へ行くと、すでに“能登かき”がたくさんあった。

水槽に入っている能登かきについて訪ねると、「これは今朝、水揚げしてきた殻付きの牡蠣です」水槽にはブクブクと泡が出ており、泡を体の中に取り入れ、糞などを出すことで、クリーンな牡蠣を出荷できるそうだ。

豊漁の見込みも、“むき子”不足が課題
今シーズンの成育状況について山口さんは「全国的に遅れ気味かなと思うんですけど、能登の牡蠣は、そこまで影響はなかった」と話す。また、牡蠣の天敵であるクロダイによる被害も少なく、水揚げ量は期待できるという見通しを示した。

しかし、能登半島地震の影響で、牡蠣の殻をむく作業をする「むき子」が減少してしまったという課題もある。「殻をむいてくださるスタッフの方がかなりやめてしまって、むき身の生産量は例年より少なくなる」と説明する山口さん。その分、殻付き牡蠣の生産量を増やすことで、全体の出荷量は例年並みを維持するとのこと。

季節によって変わる能登かきの味わい
能登かきの味わいは季節によって変化するそうだ。

山口さんは「今の時期は塩味が強く、そして春先にかけて塩味より甘みがどんどん強くなる」と説明。

「季節、季節の美味しさがあって、全く違う食べ物を買ってきたぐらい味わいが違う」とのことだ。
特に今年の能登かきについて山口さんは「いつも水揚げ開始の時期はそこまでおいしくないのですが、今年の能登かきに関しては、塩味を感じられて美味しい」と今シーズン序盤から期待できる味わいであることを強調した。

生で食べることができるのは12月中旬以降とのこと。それまでは焼いたり鍋に入れたりして楽しむことになる。能登かきがおいしい理由について山口さんは「七尾湾は山が近く豊富な栄養が海に流れ込みます。また、海が穏やかなので、おいしい牡蠣が育ちます」と説明した。
名物「ガンガン焼き」で能登かきを味わう

先ほどのガンガン焼きがどうやら出来上がったようだ。山口さんは「この泡が出てきたら、食べごろの合図です」と説明。
磯の香りが漂う中、蓋を開けてみると…

レンズが曇るほどの湯気がさらに期待感をふくらませる。

稲垣アナ「すごい湯気だ」と驚きながら試食。

「うまーい!熱い!熱くてうまい!塩味効いていますね。歯ごたえめっちゃくちゃいいですね、これ」と絶賛した。

うまみが凝縮!今シーズンの“能登かき”は絶品
能登かきを購入したいという人のために、山口水産では直売所での販売のほか、電話での注文も受け付けている。

最後に山口さんは、「能登を代表する特産品の一つ、能登かきです。これからの時期、スーパーに行くといろんな産地の牡蠣が置かれると思うんですけれど、ぜひ能登かきを選んでいただいて、買って食べていただくことによって、能登が元気になりますので、皆さんぜひ能登の牡蠣を選んでください」と呼びかけた。

10月から来年春にかけて、能登かきの季節を楽しめる。ガンガン焼きを家庭で楽しめるよう殻付き牡蠣を購入するのも良いし、12月中旬からは生で食べられるむき身も出回るようになる。石川・能登を代表する味覚、能登かきを味わってみてはいかがだろうか。

(石川テレビ)