岩手県北上市和賀町の温泉旅館「瀬美温泉」で10月16日午前、露天風呂を清掃していた60歳の男性従業員が行方不明となり、付近に血痕が発見された。警察は男性がクマに襲われた可能性が高いとみて捜索を進めている。同地域では10月8日にもクマによる被害とみられる事案が発生しており、同一個体による連続被害の可能性も視野に入れた調査が行われている。
清掃中に異変 男性の姿消える
16日午前11時15分頃、北上市和賀町岩崎新田の瀬美温泉で、露天風呂を清掃していた60歳の男性従業員の姿が見えなくなったと、支配人から警察に通報があった。

警察によると、男性は一人で清掃作業を行っていたという。現場の露天風呂では清掃道具が散乱し、血痕が柵の外へと続いていた。

また、現場では動物の毛も発見されており、これらの状況からクマに襲われた可能性が高いと判断し、男性の捜索にあたっている。
温泉地域に広がる不安
瀬美温泉に続く道路は200mほど手前から警察が直後から通行止めを行い、中に入れないようになっていた。

瀬美温泉は北上駅から車で約25分の場所に位置し、露天風呂は建物の西側、川に面した場所にある。
瀬美温泉によると、この事案を受けて正午ごろから営業を停止していて、宿泊客は全員帰っているといい、施設は当面の間営業を休止するとしている。

利用予定だった客は「露天風呂が有名なのでよく使っていた。川沿いのお風呂なのでお湯もいいですし景色もいいところだったのでちょっと残念ですね」と語った。
同一地域で2度目の被害か
瀬美温泉から西に1.8kmの場所では、10月8日、キノコ採りに出かけてクマに襲われたとみられる73歳男性の遺体が発見されている。

警察は今回の事件との関連性を調査しており、同一個体による連続被害の可能性もあるとして捜査を進めている。