15日、「総理指名選挙」に向けての動きが急展開を迎えました。
午後6時、自民党の高市早苗総裁と、日本維新の会の吉村洋文代表が会談。そして、会談後に吉村氏が「政策協議がまとまれば、総理指名選挙で高市氏に投票する」と明言したのです。

揺れる永田町、野党第一党として、野党統一候補の擁立を目指す立憲民主党の野田佳彦代表は今、何を思うのか…。

『サン!シャイン』は、野田代表を生直撃!次なる一手はあるのか?野党の3党協議はどうなっていくのか、気になる疑問を全て聞きました。
3党協議の行方「考えをねじ曲げて連立を組もうとは思っていない」
谷原章介キャスター:
きのう(15日)玉木さんにご出演いただいた際、とても口が重かったので、最後はカラオケに例えて自民と立憲どちらとデュエットしたいか聞いたら、それもお答え頂けなかったんですよ。けれども、結果きのうの夕方には、維新が自民を“かっさらった”みたいになりましたが、どうご覧になりましたか?

立憲民主党 野田佳彦代表:
かっさらったかどうかはまだ分からない、ここ数日色々なことが起こると思いますので、まだ確定的に物を申せる状態ではないと思います。

――野田さんは過去に総理大臣を経験されている中で、なぜ今回、総理大臣に名乗り出なかったのですか?
立憲民主党 野田佳彦代表:
私も公党の代表ですから、特に野党第一党ですから、総理を目指すという気持ちはもちろん強く持って、自分の党の代表選挙に出ました。
ただ、去年(2024年)の総選挙のあと、50議席を増やして比較第二党になって、自民党総裁選挙で勝った石破さんと首班指名選挙を争いましたよね。その時に、他の野党にも『野田佳彦』と名前を書いていただこうとお願いをしましたが、不発に終わりました。
それが1年前ですから、失敗を生かさなければいけない。まずは「どういう政権を野党で作れますか?」というテーブルに集まっていただいて、協議して、その後に誰をトップに担ぐかという議論をしないと、なかなか野党をまとめることはできないという。去年の教訓を生かして、今対応しているということです。

――3党協議はまだ継続していきますか?
ええ、きのう(15日)3党協議を4時からやったあとに、きょう(16日)も幹事長・国対委員長間で調整をしていく、協議を続けると確認をしましたし、そこに出席していた維新の藤田共同代表もそのことに合意をしていますので、引き続き協議をしていきます。

――「政治とカネ」の問題を維新は相当強く言っていたので、自民党と連立をするということはないと思っていましたが、3党協議でその辺りの確認する意向は?
企業団体献金廃止を、維新と我々は一緒に歩調を合わせてやってきました。にもかかわらず、自民党は高市さんの場合は政治とカネの問題について「もうけじめはついた」と言い切っているんです。けじめがついたと言い切っている政党と、二つ三つの政策実現のために、それを補完することは本当にいいのかどうか、私は、それは世の中が許さないと思っていますので、もちろんそういう確認をしたいと思います。
多分、藤田さんも中司幹事長も、吉村さんがきのう(15日)来られることについては、自分たちがお膳立てしたことではないと私は思っています。藤田さんも中司さんも約束を守る人たちなんです。裏切るようなことや、人をハメようなことをする人ではありません。おそらく高市さんと特定の誰かが組んで、吉村さんを呼び込んだと思うので、単純に政策協議が整ったからといって、維新が全員自民党と組むということは、私は考えられないと思います。

――政策内容について、原発や安全保障の問題などは、維新・国民民主とは異なる考えをお持ちですが、その点はどのように考えているのか
立憲民主党 野田佳彦代表:
自分たちの政策をねじ曲げて妥協しようとは思っていません。自分たちの考え方にご理解をいただいて、一緒に組めるのかというやりかたをしておりますので。
我々は「原発の再稼働については、一定の条件の上で認める」と。これは国民民主党も同じなんです。一方で、「新設・増設をしない」これは我々と国民民主党と違いがあります。違いがあるけれども、全ての政策が一致しなければ連立を組めないということは、私はないと思っていますし、元々自民党・社会党・さきがけ党も政策に色々な違いがあったけれど、4年近く連立をやりました。自民党と公明党も政策の違いは立憲と国民民主以上にあったけれども、26年間丁寧な協議を通じて意志決定をして連立を組みましたよね?
私は連立というものはそういうものだと思って、それぞれの党の持ち味を殺すことではなく、立場を理解して協議をして、そして複数の政党が入った連立の方が国民の多様な声を反映できると思っていますので、自分たちの考えを妥協してねじ曲げて連立を組もうとは思っていません。

元衆院議員 杉村太蔵氏:
その話って、やはり時間をかけないといけませんよね?
ぼくは本当に失礼ながら、この一年間、野田代表は野党連携に向けてどういう努力をされてきたのかなと。本当に申し訳ないですが、なんら野党が一つにまとまる努力を野党第一党として、してこなかったんじゃないかというのが私の見立てなんです。そこが、一国民として不満なんです。いかがですか?何やってきたんですか、1年間。
立憲民主党 野田佳彦代表:
懸命にやってきたつもりです。
例えば国会活動の中でも、今回の暫定税率の廃止などは呼びかけしながらまとめてきている。政策活動費の廃止なども、野党をまとめて効果のあったものもありました。
ただ、残念ながら“横糸”を通そうと思っても全部は通らなくて、進められなかったものもありましたけれども。やはり私どもは野党の長男なので、なるべくまとめて自民党にぶつけるという闘いの構造はやってきたつもりです。
元衆院議員 杉村太蔵氏:
ということは、横糸を通そうとして一生懸命頑張ってきたこの一年、なかなかそれができなかった。それを分かっていながら、玉木さんを担いで、数合わせで政権を取りに行こうとしたってことですか?これはまた、国民に対する裏切りのようにも感じる。

立憲民主党 野田佳彦代表:
数合わせじゃないでしょう。
先ほども言ったように、政治とカネの問題についてけじめをつけていない自民党に対して、そこに補完をするのではなく、野党はそれぞれ政権をとるために、第一党だろうが、第二党だろうが、自民党と対峙しながら政権を取りに行くのは基本だと思いますので。
だとすると選択肢としては、第一党の立憲、第二党の維新、第三党の国民民主が意思疎通しながら連携できるかどうか。公明党が離脱した以上、力を合わせれば政権を取れるんだから。ならば大いに議論しましょうということを、ずっと呼びかけているということです。
谷原章介キャスター:
そうなりますと、今のところ立憲・国民・維新の3党が合意をして仮に連立を組めたとしても、衆院の過半数はとれません。他にはどんなところに声をかけているのでしょうか?

立憲民主党 野田佳彦代表:
当然のことながら、公明党さんが覚悟を決めて連立から離脱したわけですし、野党の国対委員長会談にも出るとおっしゃっているし、これから国会が始まったときも、各委員会の野党の理事の懇談会にも出席をするとおっしゃったので、完全に野党になられたんです。
だとすると、我々今の野党の主要な3党が合意をしたならば、当然呼びかけを公明党にもしていって、そうすれば衆議院においても自民党をはるかに上回るチャンスがあると思っています。
政権を取り戻すために ありとあらゆる知恵と手段を
――今回の自民と維新の急接近は想定されていたのか、「政治とカネ」以外にも違和感があるとすればそこを教えてください。
立憲民主党 野田佳彦代表:
おととい(14日)の晩あたりから、急接近しているという情報は入ってきましたので、きのう(15日)急激に動いたということではなく、おとといあたりからそういうことは入ってきました。急接近をしてと言いますが、代表が直接お会いして政策協議までまとめていくということまでは、予想はしていませんでした。
元々高市さんの路線は、維新と比較的合う路線だったのかもしれませんよね。考えてみても、その意味でも近づくという可能性は元々あったのかもしれませんが、小泉さんが総裁になった場合は間違いなく維新は連立に向けた動きをしていくだろうと、予測していましたけども、高市さんとはあまりパイプがないと聞いていたので、途絶えたのかと思っていましたので、そこは急展開というのはその通りだと思っています。

――視聴者からは、「維新や玉木さんが自民に向いていると感じるが、政権交代は無理だと思い始めていますか?」と質問が来ています。
立憲民主党 野田佳彦代表:
諦めないでやっていきたいと思います。まだ、協議が3党で続くわけですから、私は首相指名のギリギリまで、成就するように頑張って行きたいと思います。
十数年に一回しか自民党から政権を取るというサイクルはないんですよね、今までも。93年と2009年、それがようやく来たわけですので、このチャンスをもぎ取るために知恵を出し合わなくてはいけないと思っていますので、諦めずに頑張っていきたい。
元衆院議員 杉村太蔵氏:
であるならば、やはり野田さん自身が今度の首相指名、総理の座を取ると。維新と玉木さんに協力してくれと。俺の政権構想に協力してくれと、それが本筋ではないかと思うんです。(議席が)140なんぼある立憲が、20なんぼの国民民主の玉木さんを担ぐというのは、何かちょっと違うんじゃないかという印象を持っています。

立憲民主党 野田佳彦代表:
それはよく分かるんですよ。覚悟と矜持はもちろんそういう気持ちで、そういう態度です、本来は。だから去年それにチャレンジしたけれども、残念だったと。その教訓を生かさなければならないときに、次善の策を考えたときに、93年に細川護熙さんが8党派連立政権の中で総理となりました。あのときは第四党なんです。そういうやり方もあるので。
私は「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と、十数年に一回の政権交代を、なによりもやりたい。なぜならば、私が総理の時に自民党に政権を明け渡した。取り戻すためにはあらゆることに知恵を出さなくてはいけないし、あらゆる手段を使わないといけないと思っています。

元衆院議員 杉村太蔵氏:
細川政権がうまくいったならいいですよ…、うまくいかなかったあの政権をなぜ参考にするのか。ごめんなさい…、本当に解せないところです。やはり野田さんが取りに行くべきです!
立憲民主党 野田佳彦代表:
ありがとうございます。あの政権の教訓というのは、8党派の意志決定をどうするかだったと思うんです。その教訓を生かしたのが、自社さ(連立)じゃないですか?
自民党と社会党って、全然差がありますよ、政策に。だけど4年もったというのは、自民党が丁寧に意志決定したからじゃないですか。公明党と自民党が26年寄り添ったのもそういうことだと思います。
与野党を超えた政権再建も見据えて…
――今回政権が取れなかった場合、立憲に対する世間のイメージが「何してたんだ」と悪くなる可能性もあるが、その覚悟はありますか?
立憲民主党 野田佳彦代表:
失敗を前提にはしていませんけども、あくまで成就するために努力をしますが、それでも今回間違いなく野党を覚悟した、非自民を覚悟した、公明党との連携というのは強まると思うんです。それはある種、右寄りに偏っていくかも知れない日本に対して、“中道”がしっかりと厚みを増していくことだと思うんです。中道ど真ん中があって穏健な保守とよりリベラルとを結んでいくことで、安定した政治ができると思いますので、その可能性は広がると思っています。

――今後も協議を諦めないとおっしゃっていましたが、どのような打開策があるとお考えでしょうか?
あくまで、ゴールというのは、野党主要3党が固まった上に、公明党が加わって政権を取るということです。このゴールを目指して、ギリギリの首相指名選挙まで頑張り続けていきたいと思います。
加えて、野党の連携で頑張ることは、自民党の中にも化学反応が起こってくると思いますので、私は穏健な保守である人たちと、年内にはより絆を深めるような、政界再建に向けた動きにもつなげるように思っています。

あくまでも、ゴールは「政権奪取」だと話す野田代表。さらにその先には、党を超えて“絆”を深め合う意図もあるといいます。
最後に、視聴者から野田代表へ、現在の国政について厳しい質問が飛んできました。
Q.なんだか国民は置いてけぼり、米の高騰・物価高苦しい。トップ争いばかりで、国政は動いていますか?(40代)
立憲民主党 野田佳彦代表:
ご指摘の通りだと思います。参議院選挙の結果が出たのが7月20日です。そのあと自民党内の党内抗争が長引いて、政治空白が続き、そして総裁選挙をフルスペックでやって、また政治空白が続き、10月4日に高市さんに選ばれたら、与党内の混乱で政治空白が続いています。ですから、早くトップ選びはやらなければいけないと思います。
その上で、速やかに国民不在で物価高対策を何もやっていない状況に、早く手を加えていかなくてはいけないと思います。
元衆院議員 杉村太蔵氏:
最後に、部下の安住さん。もう少しお行儀良くされた方がいいんじゃないですかね。『玉木!』とか『藤田くん』とか。あんなに威張っちゃったら、交渉にならなくないですか?
もうちょっとマイルドに、相手を持ち上げるとかやらないと、感じ悪くないですか?
立憲民主党 野田佳彦代表:
相手がどう受け止めるかだと思います。昔からそういう関係ですから。
(「サン!シャイン」 10月16日放送)