ネットで「ゴキブリ 駆除 秋」と検索すると「ゴキブリの駆除には秋の対策が肝心」と書かれた記事が多くヒットする。「秋に徹底駆除を行えば、越冬するゴキブリが減るため、翌年の発生が抑えられる」というのが、秋にゴキブリ駆除を勧める理由だと言われる。

しかし、ゴキブリの生態に詳しい害虫駆除のプロ、足立雅也さん(808シティ代表)は、「ゴキブリを本気で全滅させたいなら、秋ではなく、初夏(7月)に駆除作業を行うべきだ」と力説する。はたしてその真意とは?

夏の産卵前の駆除が正解

「ゴキブリの駆除には“秋”の対策が肝心」という情報がネットに出回っているようですが、家庭で最も遭遇する機会が多い「クロゴキブリ」に関しては、この情報は正しいとはいいかねます。

クロゴキブリは夏から秋に産卵する(イメージ)
クロゴキブリは夏から秋に産卵する(イメージ)
この記事の画像(5枚)

なぜならクロゴキブリの産卵期は夏から秋なので、すでに卵を何個も産み終わった秋に徹底駆除したところで、 翌年には幼虫が孵化して何百匹も大発生します。

ゴキブリは20~30個程度の卵が入ったカプセル状の卵の集合体(卵鞘)を、夏から秋にに20回前後産み付けます。つまり1匹のゴキブリが産んだ卵から翌年は最大で約600匹ものゴキブリが誕生する計算になります。だから本気でゴキブリを減らそうと思うなら、 交尾する前や卵を産み始める前から成虫と、ついでに幼虫を駆除する必要があるのです。

秋のゴキブリは放っておいても死ぬ

地球温暖化が進んだことや、空調設備の整った住宅が増えたことで、近年、越冬するゴキブリが急増中、とも言われます。それを聞くと「冬にゴキブリに悩まされるのは嫌だから、秋に駆除しておこう」と多くの方は思うはずですが、実際に越冬できるのは、運良く暖かい場所に忍び込むことができた一部のゴキブリだけです。