スカートの裾を大きく広げて座る女性の姿を描いた2つの絵画。
この2つの絵画を巡る“盗作疑惑”に、日本美術界が揺れている。
「私は盗作しておりません」
日本画家 梅原幸雄氏:
この場を借りて、はっきり申し上げたいのは、私は盗作しておりません。

日本画家 梅原幸雄氏:
この3年間、「日本美術院」のホームページに処分内容が掲載され続けたことで、私は盗作作家の汚名を着せられました。これは、私にとっては何よりも耐え難いことでした。
記者会見で盗作疑惑を否定し、処分を行った日本美術院を批判した日本画家の梅原幸雄氏(75)。

トラブルの発端は2023年3月、日本画家の作品を集めた「春の院展」に梅原氏がスカートを履く女性を描いた作品を出品した際に起きた。

梅原氏自身も所属していた「日本美術院」の理事会が、出品した絵画を「別の画家の作品と似ている」と問題視。

梅原氏は、絵の構図が似てしまったのは「偶然」だと主張したが、理事会は『結果的に他人の作品に類似している』とし、日本美術院が主催する展覧会への「1年間の出品停止」処分を決定した。

そして10日、東京高等裁判所は、日本美術院が梅原氏に下した処分は裁量権の逸脱・乱用にあたり違法だとして、日本美術院に220万円の賠償を命じた。
判決後、梅原氏は胸の内を語った。

日本画家 梅原幸雄氏:
本日の判決で、私に対する日本美術院の処分が、違法かつ無効であったことが認められたことは、うれしく思います。
“盗作作家”とレッテルを貼られた“苦悩の日々”を告白。

日本画家 梅原幸雄氏:
私の45年間の日本画家人生は消し去られたのも同然となりました。個展を開くこともできなくなり、私は絶望の中、ぼう然自失となり、絵を描く気力すら失ってしまいました。
「制作過程」詳細も明かす
さらに、作品の「制作過程」の詳細も明かした。

こちらの何枚もの絵が提出された「制作過程」の数々。

梅原氏は、座った女性の姿を描くために、モデルの写真を参考にポーズを作成。

腕の置き方は、外国人モデルの写真を参考にしたことを現す証拠も提出した。
さらに…。

渥美陽子弁護士:
元々大下図では、赤いラインのところで線をとっていた。スカートのボリュームが大きすぎるとなり削った。

渥美陽子弁護士:
脚についても「大股開きはおかしい」と奥さんに指摘され、脚の位置をずらした。
一方梅原氏は、作品を発表する上で、“盗作”疑惑を回避することの難しさも語った。

日本画家 梅原幸雄氏:
ただ偶然に似てしまったものを描いてはいけないと言われたら、富士山なんかはもともと描けない。
日本美術院は「判決文を受け取っていないのでコメントは差し控えます」としている。
(「イット!」12月11日放送より)
