ブナの実大凶作予想で被害拡大か
今年、東北森林管理局はブナの実について「大凶作」になると予想している。東北全5県での大凶作予想はクマの人身被害が過去最多となった一昨年以来2度目だ。今年も同様のリスクが高い。
クマは、冬眠に備えて体脂肪を増やさすため、秋は「食い溜め」の時期に入る。とくにメスは十分に脂肪を蓄えることで、冬眠中に出産することが可能となるのだ。
この飽食の時期に木の実などの主食が不足すれば、食料を求めて人里に現れる個体が一気に増える。
個体数の増加や里山の変化などにより、今や市街地にまで姿を現すようになったクマ。「共存」という言葉は簡単だが、現実には人とクマの棲み分けが不可欠である。秋を迎える今、身近なリスクとしてのクマを正しく知り、距離を保つことが求められている。

風来堂(ふうらいどう)
旅、歴史、アウトドア、サブカルチャーが得意ジャンルの編集プロダクション。『ドキュメント クマから逃げのびた人々』、『日本クマ事件簿』(以上、三才ブックス)など、クマに関する書籍の編集制作や、雑誌・webメディアへの寄稿・企画協力も多数。