年間の動きをみると、冬眠は11~12月頃に始まり、翌年3月末まで続く。冬眠中の1月下旬から2月上旬に出産が行なわれ、母グマは巣穴の中で子育てをする。
冬眠から目覚めると、繁殖期(交尾期)が始まる。春から夏にかけては山の植物が乏しく空腹を抱えながら何とかしのぎ、9月に入ってブナの実がなり始めると飽食期を迎える。

いずれも基本は雑食性で、ヒグマは食物の7割以上を、ツキノワグマは9割をブナの実などの植物が占める。ブナの実の実りが悪いなど食べ物が不足すれば餌を求めて人里へ降りてくる。これが、「アーバンベア」だ。とりわけ冬眠前の食欲が旺盛となる秋は警戒が必要だ。
また、クマは優れた聴覚と嗅覚、鋭いツメと強靭な力、時速40km以上で走る高い運動能力を備えている。襲われたら、人間は走って逃げ切ることはほとんど不可能だろう。
人を襲うのは防御本能から
凶暴なイメージが先行するクマだが、本来は臆病な生き物であり、人を襲うことは稀だ。
では、なぜ襲うのか。
東京農業大学地域環境科学部教授で、日本におけるクマ研究の第一人者である山﨑晃司氏は、「クマが人を襲うケースの多くは防御的な行動によるもので、捕食目的で襲うことは99%ない」と指摘する。
例えば、人間が不用意に近づいたり、知らずに彼らの生活圏に入ってしまうと、クマは攻撃されたと錯覚して立ち向かってくることがある。