酒造りを支える職人「杜氏(とうじ)」の技術を競う品評会で、最優秀賞に選ばれた島根県安来市の蔵元が、丸山知事に受賞を報告しました。
栄えある賞に輝いた蔵元ですが、コメの価格が高騰する中で迎える新酒の仕込みに向け、不安の表情を浮かべました。
受賞を報告したのは、安来市の吉田酒造の杜氏、足立考一朗さんです。
吉田智則社長とともに島根県庁に丸山知事を訪ねました。
9月に開かれた出雲杜氏の技術を競う品評会で、足立さんが仕込んだ「月山・大吟醸」は、5つの味のバランスの良さなどが評価され、出品された9つの蔵の24点の中から最優秀賞に選ばれました。
吉田酒造・足立考一朗杜氏:
杜氏になって吉田酒造で15年、初めて受賞しましたのですごく嬉しいです。
栄えある受賞を喜ぶ一方、蔵元にとって気になるのはこれから迎える新酒の仕込みです。
酒米についても、JAが農家に支払う前払い金「概算金」が大幅に引き上げられ、コメの価格高騰が続く見込みであるのに加え、食用米への作付け転換による酒米の不足も心配の種です。
吉田酒造・吉田智則社長:
当然高騰も心配なところではありますが、そもそも量自体がしっかり回ってくるのかどうかも今心配しています。
仕込みに必要な量が確保できなければ、経営へのダメージは大きいと言います。
さらに…。
吉田酒造・足立考一朗杜氏:
普通に作ってもこの麹がお米をなかなか溶かさないものですから味が出てこない。
うま味とキレのバランスが崩れていく。そこのバランスをとっていくのが非常に難しいです。
猛暑によるコメの品質の低下も心配です。
足立さんによると、ここ数年は猛暑による障害で、酒米の品質が低下。仕込みも難しかったといい、異例の猛暑となった2025年もその影響がどのように表れるか気をもんでいます。
吉田酒造・吉田智則社長:
こんな状況の中でも必死に作っていただいたお米ですので、ぜひ良いものにしていきたいと思います。
まもなく新米を使った新酒の仕込みが始まるということで、杜氏や蔵人にとって気の休まらない日々が続きそうです。