『秋の全国交通安全運動』が9月30日まで行われています。26日は熊本県内で起きた車同士の交通事故で最愛の母を亡くした遺族を取材し、交通安全について考えます。

【森 文香さん】
「きのうまで元気だったのに、さっきまでいたのにっていう…。家族が急にいなくなるんです」

声を詰まらせながら突然、家族を失った悲しみを語る森 文香さん。去年10月、交通事故で最愛の母、光惠さんを亡くしました。

光惠さんは去年10月20日の午後9時半ごろ、帰宅しようと軽自動車を運転し、南阿蘇村立野の国道57号線を阿蘇市方面に向かっていたところ、対向してきた車と正面衝突。起訴状などによると意識不明の状態で病院に運ばれましたが、約5時間後に
亡くなりました。

対向してきた車を運転していた20代の男は、現場の道路を片側2車線だと思い、
時速約60キロで車を逆走させ光惠さんの車と衝突したとみられています。

男は過失運転致死の罪に問われ、9月3日の初公判で起訴内容を認めています。

当時、熊本市内の飲食店で働いていた娘の文香さん。事故の一報を受け急いで病院へと向かいました。

【文香さん】
「どんな形でもいいから〈助かってくれ〉って祈りながら向かったのは覚えています。深夜の2時40分ぐらいすぎに急にその心電図が、明らかに、もう私でも分かるぐらいに下がっていくのが目に見えて。そこで〈もうダメだ〉と覚悟して、みんなが見守る中、本当に静かにゆっくりと呼吸が止まり、心臓も止まって、亡くなった」

あまりに急で、早すぎる突然の別れとなってしまいました。

【文香さん】
「本当に母親というよりも〈親友〉というか〈一番の理解者〉。事故翌日に食事に行く約束をしていたので、〈会いたかったな〉って思います」

警察によりますと、熊本県内では去年1年間に55人が交通事故で亡くなっています。

被害者参加制度を利用し、車を逆走させ母の車と衝突した男の裁判に参加している
娘の文香さん。今後、法廷で交通ルールの順守を強く訴えるつもりです。

【文香さん】
「当たり前のことができてないドライバーが多いのではないかと。『車は走る凶器』とよく言いますけど、本当に一瞬で命を奪う危険な乗り物に乗っているということをを自覚して、一人一人が気をつけていれば、本当に事故は減るのではないかと私は思っている」

テレビ熊本
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