シャインマスカットの海外生産のライセンス供与をめぐり、小泉農水相は「産地の理解なく進めることはない」と強調しました。

高級ブドウ「シャインマスカット」などについて、農水省は海外で無断に生産されることを防ぐため、ライセンスの海外への供与を検討しています。

こうした中、山梨県の長崎知事らは25日、「輸出ができない中でライセンスが供与されれば、生産者が大きな打撃を受ける」として、平等に競い合える環境の整備に最優先で取り組むよう訴えました。

小泉農水相:
海外に流出をしたシャインマスカットの苗木が増殖されている。適切な契約のもとでの海外ライセンスは、日本のシャインマスカットの正当性を主張する一つの手段。

小泉大臣は26日の閣議後の会見で、「産地の理解なく進めることはない」と強調しました。

遠藤玲子キャスター:
シャインマスカットは日本が誇る、日本が開発した高級ブドウ品種ですが、近年、中国や韓国に苗木が流出して中国と韓国が無断で生産・販売して、それを第三国に輸出していることが起きた結果、2019年以降は輸出量で韓国が日本を上回ってしまっているということが起きています。

青井実キャスター:
そもそも日本が開発したのに、韓国のほうが輸出量が余ったことになっているわけですよね。

遠藤玲子キャスター:
そんな問題があり農水省が検討しているのが、海外生産できるライセンス許諾ということです。今まで無断で生産されていたものを、日本が生産を認可することで逆にライセンス料をもらおうと。もらったライセンス料で、日本の産地や農家に還元しようとすることを今、農水省は提案しているということです。

青井実キャスター:
こういうビジネスモデルを作ってということですが、そのまま輸出できないのかということで農家や産地の皆さんも言い分がありそうですけどね。

遠藤玲子キャスター:
まさにそうなんです。そもそも日本からシャインマスカットの輸出ができない環境の中で、先にライセンス認可は国内生産に打撃を与えるんじゃないかということを山梨県知事も言っていますし、国内の産地の輸出環境をまずは整えてよと。その前に海外生産はないでしょうと訴えています。

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
本末転倒ですよね。作ってるのは農家で、これまで手塩にかけて時間をかけて作ってきた。それを、ライセンス料が入ってきますと言われても不安のほうが大きいですよ。

青井実キャスター:
もちろん国のビジネスモデルも分かりますが、その前にケアするところはここですよね。

海外で作られているシャインマスカットについて、山梨県・長崎幸太郎知事は「韓国に至っては、シャインマスカットを作ったのは日本だが、世界に広めたのは俺たちだというふうに言っているぐらい。例えばベトナムを見ても韓国産シャインマスカット売ってるが、ショックを受けるぐらいおいしくない…ものであるのは間違いない。なので僕ら、輸出さえさせてもらえれば十分戦える」と言っています。

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
輸出できなかったのがちょっと驚きなんですよね。

青井実キャスター:
産地の言い分、国の言い分となったわけですが。

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
ただ、生産者の思いにどれだけ国の政策が寄り添うかですよね。これまで時間をかけてきた。ここにきて、地元に十分に理解してもらう前に国がこういう話を進めてしまうと、俺たち何なんだよと。

青井実キャスター:
小泉氏は産地の理解がないままに進める気はないと。ただ遠藤さん、マスカットだけじゃないですよね。

遠藤玲子キャスター:
それ以外にも、サクランボの「紅秀峰」だったりサツマイモの「紅はるか」など、ブランドの農産物が他にも海外に流出していて、シャインマスカットも、そもそも海外流出について山梨県の長崎知事は「権利の保全が甘かったんじゃないか」と国のやり方についても指摘していました。

青井実キャスター:
そういう意味では、そもそもの海外流出を防ぐことができてなかったからこんなことになったといえると。

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
ただ、海外流出を防ぐのは並大抵のことじゃないと思う。でも、ちゃんとした仕組みを作っておかないと、ある日に気づいてみたら本家本元を取られてしまったとなりかねませんから、ここは今からでもいいからしっかりやるべきですよね。でも、これだけジャパンブランドっていうのは世界で評価されることの裏返しでもあると思うのですが、やっぱり生産者の思い、作ってる人の思いにしっかり寄り添った仕組み作りをしてほしいですね。

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