地元が猛反発する中での強行です。
在日アメリカ海軍は、空母艦載機部隊による離着陸訓練「FCLP」を山口県のアメリカ軍岩国基地で25年ぶりに行いました。

岩国基地では事前に通知されていた午後1時半過ぎから最新鋭のステルス戦闘機F35Cなどが滑走路に姿を現しました。

そして… ※タッチアンドゴーノイズ

滑走路を空母の甲板に見立て着地した瞬間にすぐに飛び立つ「タッチ&ゴー」を繰り返し、周辺にはおよそ3時間、騒音が鳴り響き続けました。

【竹内記者】
「今まさにFCLPが行われている。体に響くような轟音。手元の騒音計は108デシベルを超えている」

FCLPは、通常、太平洋上の硫黄島で実施されますが、火山の噴火活動が続いていることから、アメリカ軍は、17日から今月26日まで、予備地の岩国基地で実施すると通知。岩国市が中止を求める中での実施となりました。

岩国市によると、午後1時半からの3時間半で、66回のタッチアンドゴーを確認。
騒音は最高で89デシベルが計測され、61件の苦情が寄せられたという事です。

25年ぶりのFCLP実施に岩国市民は・・・

【岩国市民は】
「テレビの声が聞こえない。うるさすぎて。岩国でやってもらいたくはない」
「回数は少なくしてほしい、できるだけ。音がうるさい。事故があった時もやっぱりこわい」
「必要なことだろうし、騒音問題とかいろいろあるけど、元々住んでいる人からしたら、そんなに違和感はない」

基地強化に反対してきた市民団体のメンバーは今後、FCLPが定期的に岩国で行われる事を危惧しています。

【基地強化に反対する「瀬戸内ネット」久米慶典事務局長】
「岩国基地で実績をつくっていく。将来も使っていきたいという思いがあるように私は思う。継続する途切れる事のない騒音。これは本当に市民生活、私たち個人の生活に大きなダメージを与えます。二度とこういうことはしてもらいたくない、そういう思いです」

FCLPの実施期間は今月26日までで夜間の実施も予定されています。
(午後1時半~4時半、および午後6時45分~9時45分)

■これまでの経緯

改めて、空母艦載機による陸上離着陸訓練=FCLPについて詳しくお伝えします。

FCLPは陸上の滑走路を空母の甲板に見立てて戦闘機などが離着陸を繰り返す訓練で、空母艦載機のパイロットが着艦資格を取得するために不可欠となっています。

ただ、この訓練、車輪を地面につけた直後に離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を繰り返すため、周辺には大きな騒音が長時間続きます。

住民生活への影響が大きいとして、国内では近くに住宅地のない東京都の硫黄島が暫定的な訓練場所になっています。

ただ、現在、硫黄島で火山活動が継続していて、訓練に支障をきたす状況にある、ということで今月12日にアメリカ軍から防衛省に予備施設となっている岩国基地での実施が通知されました。

岩国市は即座に訓練の中止を要請。

というのも、2017年に岩国市が神奈川県の厚木基地から岩国基地に空母艦載機を移転させる計画を受け入れると表明した際に「FCLPは実施しないこと」を条件にしていました。

岩国基地では2000年を最後にFCLPは実施されていませんでしたが、今回、25年ぶりの実施となりました。

FCLPはやはり、騒音が長時間続く、という特徴があり、地元自治体や住民からは、今後もなし崩し的に岩国基地で実施されるのではないか、と心配する声も多く聞かれますが、吉中さん、今回のFCLP実施をどのように受け止めますか?

【コメンテーター:広島大学法学部長・吉中信人教授】
「地域住民の方々も反対しておられますし、条件を破って敢行するというのは、ある意味、東アジア全体の安全保障の状況というのが背景にあるんだろうと思います。ただ、そこは地域住民の方々の安全安心とのバランスというのがありますので、弊害を最小限にしていただきたい」

岩国基地の滑走路は民間機の飛行場にも使われています。
運行や安全への影響も懸念されます。

テレビ新広島
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