今では1000万人以上が利用しているふるさと納税のポイント禁止を巡り、16日に楽天グループが国を訴えた裁判が始まりました。
今後、ふるさと納税はどのように変わっていくのでしょうか。
食品から日用品まで豊富な返礼品で人気のふるさと納税。
返礼品のみならず仲介サイトを利用して申し込んだ際にもらえるポイントも人気の要因となっていますが、そのポイント付与が10月から禁止になることが決まっていました。
あと2週間と迫る中、ポイントがもらえるうちに“駆け込み寄付”をする人もいるようなんです。
なぜポイント付与が禁止になるのでしょうか。
そもそもこの制度は、ふるさとや応援したい自治体に寄付ができるという趣旨で、2008年にスタートしました。
その市場規模はここ10年、毎年右肩上がり。
2024年度、ふるさと納税で全国の自治体に寄付されたのは1兆円を超え、過去最高となりました。
その一方で、激しさを増していったのが仲介サイトによるポイント還元競争です。
ふるさと納税ガイドの飛田啓介さんは「市場がどんどん大きくなっていき、その中で利用者の獲得競争というものも徐々にヒートアップしてきた。ポイント付与のパーセンテージなどで(仲介)サイト間で差別化を図ってきた」と指摘します。
仲介サイトが顧客獲得のため、それぞれ独自で行ってきたポイント付与。
総務省が、こうした過度な競争を問題視しました。
村上総務相(9月9日):
公金を使用した公的な税制上の仕組みであり、いわゆるインターネット通販であってはならない。付与率に関わる競争が過熱することが、ふるさと納税の趣旨にのっとった適切なものとは言えないことから(ポイント付与廃止を)実施することにした。
ふるさと納税の本来の趣旨からずれているとして、10月からポイント付与が禁止となったんです。
しかし、事業者からは反発も起こりました。
2025年3月、楽天グループの三木谷社長が約295万件の反対署名を石破首相に提出。
楽天グループ・三木谷会長(2025年3月):
多くの方に署名していただいたので、これが皆さんの民意なのでお渡しできればと。
さらに楽天グループは7月に国を相手取り、決定の無効確認を求める訴えを起こし、注目の裁判が16日に始まりました。
「一律に全面禁止していて過剰で看過できない」と訴える楽天側に対し、国側は訴えを退けるよう求め、争う姿勢を示しました。
法廷論争にまで発展しているふるさと納税のポイント付与禁止。
街からは「悲しい。ポイントでまた違う物買えてた部分があるので、再度復帰してくれると助かる。物価上昇も続いているので」「ポイントは付いてほしいですけど、総務省の言い分ももっともなので仕方ない」などの声が聞かれました。
ポイント禁止で、今後のふるさと納税はどう変わっていくんでしょうか。
飛田さんは「ふるさと納税の利用者が減ることがもし仮に起きれば、自治体にとっては寄付額が減ってしまう部分があります。ふるさと納税サイトからしても、他のサイトと比べて自分たちのサイトだけ寄付金額が低いというような返礼品を特別に用意したり、利用者にとってもっと魅力的なふるさと納税になるために知恵を絞り合い進んでいくとは思います」と語りました。
9月末までのポイント付与。
制度の行方、利用者の動向に今後も注目が集まりそうです。