通信事業者を名乗る自動音声から始まり、身に覚えのない話で不安をあおる―。宮城県内で相次ぐ特殊詐欺の電話が仙台放送の報道フロアにも実際にかかってきました。やり取りを記録した音声をもとに、巧妙な手口の実態をお伝えします。
仙台放送の報道フロアにかかってきた一本の電話。
「NTT」を名乗る自動音声でした。
「お客様の電話の利用を停止します。オペレーターにつなぐ場合は番号を押してください」
指示に従い番号を押すと、今度は人間のオペレーターが対応。こちらが、実際の音声です。
女性オペレーター
「すみません、本人確認書類として運転免許証が提示されておりまして、近ごろ免許証でしたり身分証をなくしたご経験ございますでしょうか?」
電話に出たデスク
「免許証は手元にあるので落としてないと思いますね」
身に覚えのない内容を突きつけ不安をあおってきます。
女性オペレーター
「今回のご契約自体が全く身に覚えのないご契約ということでよろしいでしょうか?」
デスク
「そうですね。携帯を契約したってことですか?」
女性オペレーター
「はいそうですiPhoneの16」
実在する店舗名と人気機種の名前を出し、「不正利用されている」と語るオペレーター。
さらに、具体的な電話番号まで提示してきました。
女性オペレーター
「こちらのiPhoneの番号が070-・・・なのですがこちらも全く知らない番号ということですね?」
「そうなりますと考えられるのが第三者がですね…」
受話器に小型マイクを仕込んだ瞬間、電話の向こうの相手は不審に感じたのか、通話は突然切れた。
不審な電話は、別の日にも…。
男性オペレーター
「スマートフォンからLINEといったアプリで迷惑メール等を発信していることが確認できたため、お使いになられている全ての通信端末を2時間以内に強制停止しますという連絡です。第三者が個人情報を不正に利用し携帯電話を契約した可能性があります」
電話に出たデスク
「電話の相手は不安をあおる言葉を次々と投げかけてきました。『利用停止』や『不正契約』さらには本人確認と称して『氏名や年齢、住所』などを聞き出そうとしてきました。電話は途中で切れましたが、もしも個人情報を伝えてしまったら…と思うと背筋が冷たくなります」
県警によりますと、「これは典型的な特殊詐欺の手口」。「勝手に携帯や口座を作られたと示して不安をあおり、最終的には金銭をだまし取ることが目的」と話しています。
NTT東日本は「自動音声で連絡することは一切ない。決して応じないでほしい」としています。
そして9月16日にも、東松島市で「電話が使えなくなる」といった自動音声の電話が相次ぎ、警察が「特殊詐欺注意報」を発表しました。
こうした電話が来たらポイントは2つ。「個人情報は絶対に教えない」。そして「自分で確認するので大丈夫です」と突き放して、警察に相談することが大切です。