しなの鉄道(長野県上田市)は、これまで実施してきた多彩な色やラッピングをほどこした車両「115系」の運行予定表の掲載を9月分から取りやめると発表した。8月に「撮り鉄」と呼ばれる鉄道の撮影を趣味にしているファンが沿線の住宅の敷地に無断で侵入し、庭の木を切ったことがきっかけ。これまでもたびたび撮影者によるマナー違反があり、会社としても不心得者に堪忍袋の緒が切れた形だ。

無断で住宅敷地に侵入、庭木を切断

9月1日、しなの鉄道は多彩な塗色やラッピングの車両「115系」の運行予定表の公表を9月分から取りやめると発表した。

しなの鉄道HPより
しなの鉄道HPより
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8月上旬、長野県信濃町のしなの鉄道北しなの線沿線で、鉄道撮影者、いわゆる「撮り鉄」が無断で住宅の敷地内に侵入し、庭先の木を切る事案が発生したためだ。住民から8月10日にしなの鉄道に連絡があったという。

「懐かしの車体カラー」の列車を運行

しなの鉄道は10年以上前から、旧国鉄時代から親しまれている緑色とオレンジ色の通称「湘南色」やクリーム色と青色の「横須賀色」など、多様な色やラッピングを施した115系車両を運行している。

通称「湘南色」の列車(提供:しなの鉄道)
通称「湘南色」の列車(提供:しなの鉄道)

しなの鉄道は多くの人に親しんでもらおうと毎月、運行予定を記した「<懐かしの車体カラー・ラッピング列車>車両運用行路についてのお知らせ」をホームページ上で公表してきた。

注意喚起もマナー向上せず掲載終了

一方、運行予定とともに「田畑や宅地内などの私有地へ不法に立ち入らない」、「路上駐車など交通の妨げになる行為はやめる」などのお願いも併せて掲載。

さらに「沿線の皆様にご迷惑がかかる状況となった場合には掲出を取りやめることを申し添えます」と明記し、撮影者にたびたび注意を喚起してきた。

通称「横須賀色」の列車
通称「横須賀色」の列車

しかし、問題となった8月のケースを受けて社内で協議し、予定表の掲載を終了することにしたという。掲載は中止したものの、今後も「懐かしカラー・ラッピング列車」の運行は続けていくという。

一部のファンの心無い行為の結果、多くの撮影者が不利益を被る残念な結果となってしまった。

(長野放送)

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