ネット通販の普及などにより宅配便が増え続ける一方で、物流業界の人手不足は深刻化しており、政府は「配達員によるオートロックの解錠」を検討している。宅配業者の密着取材で、配達先の多くが不在で置き配もできず、効率や体力面で負担が大きい現状が明らかに。街の人からは「置き配がないと受け取り自体も大変」といった意見がある一方、「誰でも入って来られるのはちょっと怖い」とセキュリティーを懸念する声が上がった。
7軒中4軒不在…置き配できたのは1軒だけ
イット!が16日、密着取材したのは、宅配業者の神奈川県内の配達員だ。

午前10時すぎ、1軒目の配達先の集合住宅に到着。

Trasaburou 吉田寅彦さん:
いらっしゃらないですね。置き配希望されてないので、持ち戻りって感じですね。
住人が不在だったため、商品を持ち帰った。

2軒目も不在。
オートロックで入ることもできないため、置き配もできない。
そして3軒目。

Trasaburou 吉田寅彦さん:
サインだけいただいていいですか?
3軒目で、やっと配達することができた。

そして、6軒目で車から降ろしたのは、配達員が「これ大体25kgくらいあります」という荷物。
途中からは階段のため、台車は使えず、持って上がった。
しかし、ここも不在のため、持ち帰りとなった。

16日、最初に配達に訪れた7軒中、4軒が不在で、置き配することができたのは1軒だけだった。

Trasaburouの吉田寅彦さんは、配達員にとって置き配は「効率的にもなりますし、体力的な負担も軽減できる」と話す。
政府は早ければ2026年度に導入したい考え
ネット通販の普及により、増え続ける宅配便。

一方で、物流業界の人手不足は深刻化している。

こうした配達の現状をめぐって、政府で検討されているのが、「配達員によるオートロックの解錠」だ。

国土交通省は、宅配業者とマンションで配送データなどを共通化することで、オートロックを解錠することが可能になるシステムの導入を、早ければ2026年度に導入したい考えだ。
街の人からは「置き配がないと受け取り自体も大変で、時間内に来てくださらないこともあるので」という人がいた一方、「便利なのは便利ですけど、勝手に誰でも入って来られるのはちょっと怖いかもしれないです」「不安ですね。防犯上ちょっとそこはやめて欲しいかなと思うんですけど」とセキュリティーを懸念する声も上がった。

9月には神戸市のマンションでオートロック“すり抜け”により女性が殺害された事件が起きたばかりだ。

こうした不安の声に対し、中野国交相は16日の会見で、「配達員が自由にオートロックを解錠できる仕組みを導入するものではない」とした上で、「この仕組みは、マンション管理組合等における合意がなければ導入されることはありません。防犯やセキュリティーというのは大前提であります」と述べた。

マンションと連携し、権限が付与された配達員だけがオートロックを解錠することができるシステムや、スマートフォンを連動させ、外出中でも映像と通話で確認することができるインターフォンなど、少なくとも2万棟を超えるマンションで、こうしたシステムが導入されている。
(「イット!」9月16日放送より)