2025年の上半期に倒産した医療機関は全国で35件。
過去最多のペースで推移しているんです。
背景には人件費の高騰や人手不足などがある中、AI(人工知能)を活用した症状チェックが注目を集めているんです。
16日の「ソレってどうなの?」は、「国内初、医療AIパートナーで何が変わる?」をテーマにお伝えします。
東京都内で行われた新サービスの発表会。
16日から正式に運用が始まったのは、国内初となる“医療AIパートナー”の「ユビー」です。
これはAIを活用した症状チェックで、気になる症状についての質問に回答すると、その症状に関連する病名や対処法、該当する診療科や近隣の医療機関を提案してくれます。
では、なぜこの医療AIパートナーの開発に至ったのか、開発責任者の風間正弘さんは「いま70%を超える人が“医療迷子”。一刻も早く0%に削減して進めていきたい」と話しました。
この会社の調査によりますと、医療に関わる段階で困った経験がある“医療迷子”と呼ばれる人が7割以上いたことが判明。
その改善を図ろうと導入したということです。
実は、5年前から試験的に導入されていて、すでに活用しているという人もいました。
利用者(50代):
今年2回手術を受けている。人工股関節置換手術。すごく不安だったので「こういうアプリがあるので使ってみたら」とすすめられた。思っている、感じている疑問をAIに投げかけてAIが精査して返ってくる。自分の状態を把握するのに便利。本当に専門的なことは「病院に行った方がいいよ」と促してくれる。
こうしたAIを活用した症状チェックは、認知機能に特化したものなど他の企業も開発しています。
また、今回発表したのは一般的なアプリですが、医療機関と連携して受診前に行うAI問診というものがすでに導入されています。
このAI問診については、医療従事者の人材確保が課題となる中でより効率的に業務を行うための環境整備費用として、国の給付金の対象にもなっています。
さらに、人件費を抑えて医療費を削減するという狙いもあります。
厚生労働省はそのメリットについて「事前に患者の要望を集約でき、医師の長時間労働などの問題が改善できる」としています。
実際にAI問診を導入している病院「山王ウィメンズ&キッズクリニック大森」を取材しました。
患者が自宅などでAI問診を受けてから来院するケースもありますが、受付にはQRコードがあり、来院してから利用することもできるといいます。
高橋怜奈院長は病院としてのメリットについて、「問診を事細かに書いてくださるので、診察室で色々聞く手間がない。時間が短くなるということで待ち時間の短縮になる。どういう患者さんが来るのかっていうことをあらかじめ把握することで、診療の準備になるっていうのはすごく助かってます。(患者から)言いづらいこととか、聞きづらいことをあらかじめウェブで伝えることができるので、それはすごく良いというお声があります」と話しました。
青井実キャスター:
AIで医療問題を解決していくという動きですが。
SPキャスター・山口真由さん:
日本って下手したら風邪でも大学病院に行けちゃうので、高度な医療リソースが効率的に使われていないといわれてきましたけど、クリニックや大学病院もAIで振り分けできる時代になればいいかなと思います。
一方で、高橋院長は「あまりスマホとかを使う機会がないお年をめした方だと、ちょっと問診が大変だったって方もいらっしゃる」と指摘しました。
さらに医療分野でのAI活用を巡っては、不正確な情報による誤診のリスクなどの可能性も懸念されています。
こうしたリスクについてユビーの開発責任者の風間正弘さんも「やはり専門的な判断というのは、最終的には医療機関がするものですので、そういった場合にはすぐにご案内をするっていうふうな仕組みになっております」と話しました。
医療分野でのAI活用。
まだ課題はあるようですが今後、さらなる広がりというのが期待されています。