たとえば、新米時期にとてもおいしかったお米が、数カ月後に再び購入するといまひとつという場合だってあるのです。あるいは、新米時期はいまひとつだったのに、数カ月後に再び購入するとおいしくなっているというお米もあります。

収穫から1年経ってから味がのってくるというお米もあります。そもそも同じ生産者から再び買ったお米が、以前に買ったお米と同じ田んぼのものではないという場合もありますが、お米は収穫後も生きているのです。

おいしさのピークは収穫後すぐとは限らない(画像はイメージ)
おいしさのピークは収穫後すぐとは限らない(画像はイメージ)

10年ほど前に千葉県でお米を栽培していた頃、収穫したお米の味が前年に比べて薄く、がっかりしたことがありました。ところが、年明け頃から味がのってきたのです。現在でも、多くのお米が収穫から2〜3カ月後くらいから水分が落ち着いて味わいが増してくるように感じています。

年内までは「新米」と呼び、年明けからは「新米」とは呼ばなくなってしまいますが、第二弾の「お米の旬」もぜひ新米と同じ熱量で楽しんでみてはいかがでしょうか。

ただし、お米は精米後から酸化が始まるので、購入したお米は密閉容器などに移して冷蔵庫で保管して早めに食べきるようにしましょう。2週間ほど経つと味わいが変わってきてしまうため、少量ずつの購入をおすすめします。

新米は「香り高さ」や「みずみずしさ」などが持ち味。まずは新米を楽しみ尽くしましょう!

『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)
柏木智帆
柏木智帆

米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター。大学卒業後、2005年神奈川新聞社に入社、編集局報道部に配属。新聞記者として様々な取材活動を行うなかで、稲作を取り巻く現状や日本文化の根っこである「お米」について興味を持ち始める。農業の経験がない立場で記事を書くことに疑問を抱くようになり、農業の現場に立つ人間になりたいと就農を決意、8年間勤めた新聞社を退職。無農薬・無肥料での稲作に取り組むと同時に、キッチンカーでおむすびの販売やケータリング事業も運営。2014年秋より都内に拠点を移し、お米ライターとして活動を開始。2017年に取材で知り合った米農家の男性と結婚し、福島県へ移住。夫と娘と共に田んぼに触れる生活を送りながら、お米の消費アップをライフワークに、様々なメディアでお米の魅力を伝えている。また、米食を通した食育にも目を向けている。2021年から「おむすび権米衛」のアドバイザーに就任。
著書に『知れば知るほどおもしろいお米のはなし』(三笠書房)、『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)がある。