それは、収穫したてのお米は細胞壁などが柔らかいことで、炊飯の熱が入りやすくなるから。そして、お米の水分が落ち着いていないからです。

収穫したてのお米は水分15%程度といっても、実際に計ってみるとすべての米粒が同じ水分というわけではなく、14%の米粒もあれば16%の米粒もあるなどばらつきがありました。そのため、人によっては新米に対して「どこか落ち着かない食べ心地」だと感じる人もいます。ここから玄米のまま冷蔵で1年寝かせると米粒同士の水分が移動して均一になっていくのです。

まずは通常通りの水量で(筆者撮影)
まずは通常通りの水量で(筆者撮影)

一方で、「新米は水を少なめに」炊くというのは間違いではありませんが、状態はお米ごとに違います。一律に水を減らすのではなく、まずは通常通りに炊いて食べてみて、2回目以降は水を減らして炊いてみるなど、それぞれのお米に合わせた調整が必要です。

洗米と炊飯の水は冷やして

水量だけでなく、新米の時期に気をつけたいことは水温です。

お米の吸水や炊飯には冷水を使うことをおすすめしますが、11月頃までは地域や時間帯によっては水道から出る水の温度が20度を超えてしまうこともあります。炊飯するときに使う水がぬるいと、冷めてから硬くなったり、ご飯粒の表面が溶解してべたついたりと、食感が悪くなりがちです。

特に猛暑などの影響でお米の品質が落ちてしまった令和5年産米は、ご飯粒の表面がべたつくお米が多かったのですが、冷蔵庫でキンキンに冷やした水を使って冷蔵庫の中で半日ほど吸水させてから、ガスや炊飯器の早炊きモードで炊くと、べたつきが緩和されました。

今年の新米も猛暑と渇水によって品質にも影響が出ると見られますので、お米を洗ったり炊いたりする水はしっかりと冷やしておくことをおすすめします。

水温が心配な季節は確認(筆者撮影)
水温が心配な季節は確認(筆者撮影)

ただ、お米に使う水を冷やしておくと言っても、冷蔵庫内のスペースは限られますよね。そこで、せめてお米を洗うときに最初と最後に使う水だけでも冷やしておくのはいかがでしょうか。最初は吸水しやすく、最後は冷蔵庫の中で吸水させますので、中間のすすぎがぬるい水でも少しは影響を抑えられます。ミネラルウォーターを使っている人も冷蔵庫で冷やしておくといいでしょう。

味のピークは収穫後とは限らない

ちなみに、新米の季節に食べたお米がいまひとつだった場合、あきらめるのはまだ早いです。

お米のおいしさのピークはお米によって違います。