熊本県内各地に甚大な被害をもたらした記録的な大雨から、8月21日で10日がたつ。被災地では、復旧作業が手つかずの住宅もあり、ボランティア不足が課題となっている。現状を取材した。

「ボランティアのおかげ」「涙が出る」

一連の大雨で、一部損壊3棟、床上浸水37棟、床下浸水45棟などの住宅被害が発生した熊本・宇城市。8月15日からボランティアの募集を始めた。これまでに74件の活動依頼があったが、19日時点で、まだ39件が完了していない。

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ボランティアに参加した地元の高校生は「自分にできることを精いっぱいやれるだけやろうかな」と話し、別のボランティアも「〈自分にできることは頑張りたい〉と思って来た。若いので、力仕事を頑張りたい」と語り、21日は26人のボランティアが集まった。

ボランティアが向かった宇城市立小川小学校の近くにある住宅では、浸水により倉庫の荷物が散乱。80代の夫婦と97歳のおばの3人が暮らしていて、「片付けには限界がある」という。

住民は「足は骨折しているし、大腿骨もけがをして退院から3カ月もたっていなくて…。これ以上、ありがたいことはない。涙が出るぐらい」とボランティアに感謝した。ボランティアたちはリレー方式で荷物を手際よく運び出し、軽トラックに積み込んだ。

また、小川町北海東の山あいにある住宅の裏でがけが崩れ、川がせき止められたことで床上浸水したという。被災した住民は「畳までベチャベチャ。廊下まで土が流れて…。腰が悪くて何もできないから、ボランティアのおかげで大変助かっている」と話す。

「私たちだけじゃ、どうにもならない」

しかし、ボランティア不足などにより、支援が届いていない場所も。納屋2棟が土砂崩れの被害に遭った住宅では、家の周りは泥で埋め尽くされているが、ほぼ手つかずの状態だ。

被災した住民は「外はどこから手を付けていいか分からない状態。すぐすぐは来られないかもしれない。ボランティアが足りないという話。とにかく私たちだけじゃどうにもならないという感じ」と肩を落とす。

宇城市では、市民からの依頼数に対してボランティアの人数は足りていない現状で、全ての活動依頼が完了するまで、中学生以上を対象にボランティアを募集している。

(テレビ熊本)

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