一連の記録的大雨で、JR九州では初めて九州新幹線を高架の線路に避難させる対策を取った。これは2019年の台風19号でJR東日本の北陸新幹線で起きた車両の浸水被害を教訓に行われた対策だ。
高架の線路に避難する九州新幹線の車両
8月11日にSNSに投稿された映像には、熊本市西区・JR熊本駅近くの九州新幹線の線路に、新幹線の車両が何台も間隔を空けて停車しているのが分かる。

熊本市南区富合町にある熊本総合車両所にあった13編成の新幹線が浸水被害を逃れるために避難している様子で、投稿元のXでは1000万回以上表示されている。

2019年10月に起きた台風19号、JR東日本の北陸新幹線では、近くの千曲川が決壊し、車両センターに止めてあった新幹線・10編成120車両が浸水被害に遭った。
北陸新幹線の浸水被害教訓に訓練重ねる
当時のJR九州の青柳俊彦社長は「最初は信じられなかった。鉄道では車両基地が一番安全な場所。何かあったら車両基地に逃げ込むのが常識だったので。1000年に一度の危ない状態が近づいたとなれば、新幹線であれば高架上に上げるしかない」と定例会見で述べていた。

北陸新幹線の浸水被害を教訓に、大雨を想定して新幹線を高架に避難させる訓練を続けてきたというJR九州。今回、近くを流れる緑川など、河川の氾濫の危険性が高まったことから、初めて実際に高架上に新幹線を避難させたという。

一連の記録的大雨で熊本総合車両所には浸水被害はなかったということだが、JR九州は「今後も訓練を続け、判断精度を高めていきたい」とコメントしている。
(テレビ熊本)