不安顔の人の言うことを誰が聞くの?相手の脳にも不安が漂うのに。不満顔の人の言うことを誰が聞くの?相手の脳にも不満が渦巻くのに。
私は、家族に不満を伝えるときは、あきれ顔気味の笑顔で「これ、ダメじゃない?」と言う。するとけっこう「だよね。気をつける」と返事してくれる。イラついた不満顔で「なによ、これ」と言うと、「忙しいから、しかたないだろう」なんて、イラついた不満顔で言い返されるのがオチだもの。

つまりね、ことばを発する前に、実は、表情で多くの勝負が決まっているのである。ときには、どんなに素晴らしいことばで誘導しても、表情のマイナスを取り戻せないこともある。
対話のトリセツの終盤に、コミュニケーションのキモは、結局のところ表情なんだよね、というのもなんだかなぁという気もするが、表情は対話を下支えする大事なコミュニケーション・ファクターなので、言っておかないわけにはいかない。
うなずかない若者の増加
実は、この表情の交換において、最近、世代間でコミュニケーション・ギャップが起こり始めている。
1997年生まれを境に、コミュニケーションの反射反応(うなずいたり、表情がとっさにそろったりするミラーニューロン反応)が薄い人が増えているのである。つまり、上の世代にしてみると、笑いかけても表情が動かず、何かを伝えてもうなずいてくれない「うなずかない若者」「話しかけにくい若者」が増えているってことになる。
このことは、私が新卒で社会に出た年に、さまざまな企業で、いっせいに言われ出したことである。新人の反応がなさすぎて、新人教育がつらい。言わなくてもわかるはずの、当たり前のことがわからない、などなど。
実際、私の知人の娘さん(1997年生まれ)が、会社の同期に「上司に、話聞いてるのか、と言われたことのある人」というアンケートを取ったら、90パーセント以上がYESだったと教えてくれた。