「なんでやらないの?」と思ったら「これ、あなたがやるべきことよ、覚えておいてね」と言えばいい。直感的な最初の気づきがないだけで、やるべきことを教えてあげれば、やがて、関連した、ほかのことにも気づくようになる。「気が利かない」は最初のうちだけ。少し根気が要るが、ちゃんと育ってくれる。

高いからいいってものでもない

ミラーニューロン活性レベルが高いと、気が利くし、仕事の飲み込みが速い。一方で、人の表情が気になって、自分の意見が言えなかったりする。

ミラーニューロン活性レベルが低いと、気は利かないが、自分の意見を躊躇なく言えるし、国際舞台でのびのびと活躍したり、明るくタフな営業パーソンにもなれる。

一概にどちらがいいとは言えないのである。日本人は民族としての特性を勘案するに、ミラーニューロン活性レベルの高い民族だった。

気が利くし、匠の技の暗黙知(ことばにならないコツ)の伝承もうまい。けれど、一方で、忖度の国とも呼ばれている。もしかすると1997年以降に生まれた世代は、国際標準に近づいているのかもしれない。

『対話のトリセツ』(講談社+α新書)

黒川伊保子
人工知能研究の立場から、脳を機能分析してきたシステムエンジニア。脳のとっさの動きを把握することで、人の気分を読み解くスペシャリスト(感性アナリスト)。コンピュータメーカーにてAI開発に携わり、男女の感性の違いや、ことばの発音が脳にもたらす効果に気づき、コミュニケーション・サイエンスの新領域を拓く。『妻のトリセツ』(講談社+α新書)をはじめとするトリセツシリーズは累計で100万部を超える。

黒川伊保子
黒川伊保子

脳科学・人工知能(AI)研究者・感性アナリスト。1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業後、コンピュータ・メーカーにてAI開発に従事。2003年より(株)感性リサーチ代表取締役社長。語感の数値化に成功し、大塚製薬「SOYJOY」など、多くの商品名の感性分析を行う。また男女の脳の「とっさの使い方」の違いを発見し、その研究成果を元にベストセラー『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』『夫婦のトリセツ 決定版』(いずれも講談社)、『娘のトリセツ』(小学館)、『息子のトリセツ』『母のトリセツ』『60歳のトリセツ』『孫のトリセツ』『運のトリセツ』(いずれも扶桑社)を発表。他に『母脳』『英 雄の書』(ポプラ社)、『恋愛脳』『成熟脳』『家族脳』(いずれも新潮文庫)などの著書がある。