石川県民の『いとおしい』グルメを紹介する「イトシメシ」。「全身がたるむぐらい美味しい」という県民のコメントに、思わず興味をそそられる"石川県民のソウルフード"。地元では「サブ行こうか」の一言で通じる、創業75年の老舗「さぶろうべい」。その名物「とり白菜」と「とりかわ」を、彦摩呂さんが初体験した。
「全身がたるむぐらい美味しい」と地元民が絶賛する店へ

「大好きでよく行くお店。先週も行ってきた。」という地元の女性が熱く語る店。それが「さぶろうべい」だ。

女性によれば、特に「とり白菜ととりかわ」が絶品。「醤油だれに生卵を溶かして、それにつけるんです。」と目を輝かせる。その美味しさを尋ねられると「もう全身がたるむぐらい美味しい」と答えていた。

ということで、彦摩呂さんがやってきたのはさぶろうべい高松本店。同行したのは石川テレビの沼本若菜アナウンサーだ。

彦摩呂さん、「ちょっとね、ブヒブヒ、あ、ドキドキしてます」と緊張した様子。

沼本アナは「実は私も初めてなので」と告げると、「楽しみやね。どんな料理やろう?」と期待に胸を膨らませていた。
昭和の香り漂う老舗の店内へ

1950年、昭和25年創業のさぶろうべい。75年もの間、地元の人たちに愛され続ける店だ。

店に到着すると彦摩呂さん、あるものを見つけた!

「何ですか?この3LDKは」と指摘した先にあったのは、おでんコーナー。そこにあるのが、さぶろうべい名物の「とりかわ」だ。

この名物『とりかわ』店内をのぞいてみると、ほとんどの客の机にこの「とりかわ」の皿が置いてあった。まさに『酒が進む逸品』だ!

彦摩呂さんが訪ねると、常連客は「おいしくてすぐペロ~ですよ」と絶賛。「必ずこれは頼む」「これで育った」「地元のソウルフード」と口々に語り、彦摩呂さんも「魂の食べ物。うわあ、ちょっと楽しい。昼間から飲んでソウルフード食べて、羨ましい」と興奮していた。

「ちゅるんちゅるん」のプルプルとりかわを堪能
いよいよその『とりかわ』をいただく。

「見てくださいよ、この皮がもうタプタプのおつゆにつかっているよ」と彦摩呂さん。

「入場」と言いながら頬張ると…「うわあ。ちゅるんちゅるん!チルチルミちゅる。青い鳥探しそう」と絶妙な表現で食感を伝えてくれた!

沼本アナも一口。「本当にプルプル。プルプルやね。すごい」

この『とりかわ』は創業当時からあるメニュー。ネックの皮だけを使い、余分な脂は1つ1つ取り除いているそうだ。

アクを取りながら時間をかけて煮込んだ、手間暇かけた一品がこの『とりかわ』だ。

「ちゃんとこう煮込んで脂取ってはんねやわ、これ。奥まで染みてるやもう味の家宅捜査や」と彦摩呂さん。

沼本アナが「何か見つかりましたか?」と尋ねると感激した表情で「うまみが見つかりました」と彦摩呂さん。

暑い日でも食べたくなる「とり白菜」
店の奥へ行くと座敷でとり白菜を堪能している団体を見つけた。集まっていたのは4家族の集まり。

「何かお祝いですか?」と彦摩呂さんが訪ねたところ、「いつものこと」と答えが…。

ほぼ週1で、さぶろうべいを楽しんでいるそうだ。彦摩呂さんが「夏に鍋って冷たいもの食べたくないの?」と聞くと、その場にいた子どもたちは「“さぶ”やから」と。ちなみに「さぶろうべい」を略して“さぶ”と地元では呼んでいるようだ。

暑い日でも食べたくなるさぶろうべいの『とり白菜』

早速、テーブルに座って待っていると出てきたのは「白菜山盛り」

びっくりする彦摩呂さんに店員さんは「具が隠れています!安心して下さい」とのこと。

店員さん「鉄鍋で、最初は強火でやっていきます」と鍋を端で混ぜ混ぜしていく…。白菜がひとつこぼれても「こぼれるのも名物と私は言ってます」と苦笑いだ。
しばらくするとパチパチと音がしてきた。白菜の下には、チーユが引かれているそうだ。

チーユというのは、先ほどの『とりかわ』を煮出した際に出る「脂」のこと。黄金色のチーユが、とり白菜のおいしさの秘密だ。

そこに味付けした親鳥を入れ、たっぷりの白菜を加えて作る、だしやスープを使わない鍋なのだ。

白菜がしんなりしていくと、鳥肉が見えてきた!彦摩呂さん「ゴロゴロ入ってる。前田藩の宝がここにあったかー。」

完成したとのことで、彦摩呂さんが食べようとすると沼本アナが『ストップ』をかけた。このまま食べるのでは「さぶ」ではない。

店員さんが持って来たのが「秘伝のしょうゆダレ」能登のいしるを使っていると言う。

タレに落としてある卵をほどよく溶いて、ここにつけて食べるのが「さぶろうべい」の「とり白菜鍋」なのだ。

彦摩呂さんが、一口食べると…目を見開き「歯ごたえ!」と一言。

鶏が口の中でHIPHOPダンスを踊っているというのだ。「タレのうまみが、もっと醤油っぽい濃い味かと思ったら、まろやかな味で、香りも上品で…、かむとうまみがギューッと出てくるもんね。」とおいしくてたまらない様子。

『とり白菜』が生まれたのは75年前
「とり白菜」は1950年、養鶏場を営む高橋三郎平が、卵を産まなくなった“ひねどり”を余すことなく食すために考案したメニューだそうだ。

「とりかわ」も創業当時からのメニューで、身や皮、「抽出されるチー油」、さらに卵まで使用した、生命を無駄にせず使い切ろうとする精神から生まれたそうだ。

最後の楽しみは締めのラーメン。

「見て、表面にあの、今までのトリのチーユが黄金の玉をなして浮いてきた」と彦摩呂さんが指摘。さらに「脂っぽくなく、さっぱりとしていて、トリのうまみと相まってこれは本当にすごい」と、大絶賛。

彦摩呂さん「石川県民じゃないけど、僕もソウルフードって言って良いですか?」

さぶろうべいの「とりかわ」と「とり白菜」彦摩呂さんのソウルフードになったようだ。

さぶろうべい高松本店
〒929-1215
石川県かほく市髙松丁42
TEL:076-281-0529
営業時間:午前11時~午後9時(ラストオーダー午後8時半)
定休日:不定休
(石川テレビ)