これらの動きから見えてくるのは、中国を中心とする一大勢力です。具体的にいうと、中国、ロシア、北朝鮮、イラン、さらにベラルーシ、ヒズボラ、ハマス、イエメン・フーシ派なども含まれます。
地政学的にいうと、中国、北朝鮮、イランは、リムランドのランドパワー、ロシアはハートランドでランドパワーです。そして、これらの国々の共通点は、「独裁国家」であることです。
そう、中国、ロシア、北朝鮮、イランは、「独裁ランドパワー同盟」なのです。ウクライナは、かつてハートランドの一部(つまりソ連の一部)でした。しかし、自由で豊かで、民主主義、人権を重視するように見える、欧米の方に向かいました。ロシアは、ウクライナを強制的に取り戻したいのです。
バイデン時代、日本、アメリカ、イギリス、EU、オーストラリアなどは、ウクライナ支援で一体化していました。これは、「民主シーパワー同盟」といえるでしょう。
というわけで、バイデン時代の世界では、中国、ロシア、北朝鮮、イランを中心とする「独裁ランドパワー同盟」と、日本、アメリカ、イギリス、EU、オーストラリアなどを中心とする「民主シーパワー同盟」が争っていたのです。
しかし、トランプ政権誕生で、この構図があいまいになりました。中国、ロシア、北朝鮮、イランのランドパワー同盟は、現状ゆるぎなく見えます。その一方で、トランプの相互関税などで、民主シーパワー同盟は、崩壊の危機にあるように見えます。
トランプ政権は「日本自立」のチャンス
独裁ランドパワー同盟は一体化して強く見える。一方、民主シーパワー同盟は、トランプ政権によって分裂し、弱く見える。「だから日本も、中国ロシア同盟に入ろう」というのは、「第2次世界大戦の失敗を繰り返す」ことになります。
第2次世界大戦中の日本も、「独裁国家のドイツが勝ちそうだから」ドイツの同盟国になったのです。
独裁ランドパワー同盟に入らないとすると、日本には、どんな道があるのでしょうか?「自立する」という選択があります。どういうことでしょうか?