夏山シーズンに向けて登山靴を箱から出すと、いつの間にか靴底がボロボロの状態に…。こんな経験をしたことはないだろうか。

実は保管状態によっては劣化が進むのだ。靴底の崩壊やソール剥がれに前兆などがあれば気をつけたいが、分かるものなのだろうか。

劣化具合の見極め方や適切な保管方法について、登山用品などを扱う「石井スポーツ」登山本店の担当者に話を聞いた。

購入から“約5年”で劣化が…

登山靴の劣化は基本的に購入してから約5年で始まるとされている。その要因の一つが、空気中の水分と素材が反応して劣化を招く“加水分解”という現象だ。

加水分解により劣化が進んだ登山靴は、見た目や履き心地に問題がなくても少し力が加わると一気に崩れてしまうことがある。そのくらい劣化具合を見極めることは、一般の人には難しいという。

登山靴のソールが剥がれてしまっている(画像:石井スポーツ提供)
登山靴のソールが剥がれてしまっている(画像:石井スポーツ提供)
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「誰もが見て気付くほど、靴本体とソールの間にはっきり隙間ができていることもあります。しかし、見た目がきれいでも実は劣化が進んでいるケースも多いです。『久しぶりに履いたらいきなりソールが剥がれた』という話もよく聞きます」

なお加水分解によるソール剥がれなどは、予期しないタイミングで起きることがほとんどだ。例えば靴の状態を確認するために久しぶりに履いて1時間ほど歩いて問題がなかったとしても、その後の登山当日にいきなり靴底が崩壊する可能性もあり得る。

泥汚れを放置すると劣化が進む可能性も

見た目や履き心地での判断が難しいことは分かった。ではどのような対応をすればいいのだろうか?

やはりポイントは「購入から5年が経過しているかどうか」という点。あまり履いていなくても、いつソールが剥がれてもおかしくない状態だと考えてほしいという。

もちろん5年未満だからといって安心するのはNG。靴本体とソールの接着部分に隙間ができていないかなど、見て分かることもあるので確認することは重要だ。

靴本体とソールが分離しかけている(画像:石井スポーツ提供)
靴本体とソールが分離しかけている(画像:石井スポーツ提供)

「登山靴は水分を含む泥がソールなどにつきやすく、しっかり落とさないと加水分解が進みやすい状態になります。そうすると、5年よりも早くソールが剥がれることもあります」

なお、「加水分解が起きた=修理できない」というわけではない。ソールの張り替えなどで対応できる場合もあるので、購入店舗に相談しても良いとのことだ。