アウトドアではさまざまな生き物と出会うが、人や動物の血を吸う「ヤマビル」を知っているだろうか。
「ヤマビルは知らぬ間に吸血被害に遭うことの多い生物です。かまれた箇所は出血が止まりにくくなり、傷跡は長くて1カ月ほど、かゆみが続く場合もあります」
こう話すのは、危険生物のリスクマネジメントを研究する西海太介さん。対策すれば被害は防げるというのでポイントを教えてもらった。注目のキーワードは「足元の隙間」だ。
湿気を好み、山を動き回る
ヤマビルはヒルの仲間で、陸に住んでいるのが特徴。人や動物にくっつき、血液を餌とする。

体長は3cm程度だが、体を伸ばすと7cm程度に。幅は太いものだと、1cm程度になる。
活動するのは4月~10月。湿気を好み、雨の日やその翌日はより活発になる。北海道や青森県を除くと、全国的に目撃例があるそうだ。
西海さんによると、ヤマビルは山地や里山に生息しているが、近年は分布の拡大が懸念されているのだとか。宿主であるシカの生息域が広がったためと考えられるようだ。

「ここ数年、シカの個体数は減少傾向ですが、それでも1990年ごろに比べると個体数は多い状態が続いています。シカの移動に伴って、ヤマビルの生息域も広がったと考えられています。十数年前にはいなかった山でも、見られるようになった例もあります」
人の気配を察知できる!?
そんなヤマビルの厄介な特徴が、知らない間に吸血してくること。彼らは人や動物の気配を察知できるという。