2025年6月から職場での熱中症対策が強化され、熱中症の恐れがある人を早期に発見し、迅速かつ適切に対処する事が企業などに義務付けられた。

炎天下で作業することが多い東九州自動車道の建設現場での熱中症対策を取材した。

義務化された熱中症対策

この記事の画像(18枚)

2024年の1年間に宮崎県内で発生した熱中症による労働災害は172人で、2023年の1.7倍と大幅に増加した。県内では2024年8月、延岡市の道路工事の現場で50代の交通誘導員男性が熱中症で死亡する事故も発生している。

熱中症対策で義務化された1つ目が体制整備。熱中症の症状を訴えたり、熱中症の恐れがある人を見つけた場合に備え、連絡先や担当者を決めておく必要がある。

2つ目の「手順作成」では、症状の悪化を防ぐため、作業をやめて体を冷やしたり、医療機関に搬送するなど、処置の方法を定める事などを求めている。

対象となるのは、「気温31度以上の環境などで連続1時間以上、又は1日に4時間を超えての作業が見込まれる場合」と示されている。

東九州自動車道の建設現場では

対策を求められる企業の取り組みを取材した。

宮崎県日南市で行われている東九州自動車道の建設現場。4つの企業が工事に携わっている。

こちらでの作業員を守る熱中症対策は、こまめな水分補給に加え、1時間に1回は10分間の休憩を実施。

冷えたスポーツドリンクやゼリーなどが休憩所に用意されている。

作業員:
こまめな水分、塩分補給。作業員には、「ちょっとでも具合が熱っぽいとか、気分が悪くなったら言ってください」と言っている。

作業員:
現場が鉄板とか敷いてあって照り返しで普段より暑く感じるので、水分補給は欠かせない。

また、作業員には所属する企業から「ファン付きウェア」が支給される。

さらに、必要に応じて「腕時計式センサー」も着用。体の中心部分の温度が上昇し、熱中症リスクが高くなるとアラームで知らせる仕組みだ。

横河ブリッジ日南油津大橋作業所 長田修監理技術者:
夏の猛暑での作業になると頻繁にアラートがなって、音とLEDの光と振動で知らせてくれる。

移動式カメラで熱中症を早期発見

6月から始まった熱中症対策の義務化に伴う新たな取り組みも…。

横河ブリッジ日南油津大橋作業所 長田修監理技術者:
6月から導入されたもので、連絡体制と実施手順。熱中症の疑いがあると、まずは全員で涼しい場所に連れていって、意識があるか、自分で立てるか確認しながら、出来ないようであれば迷わず119番の救急車を要請。

また、作業員に熱中症の疑いが無いか、早期発見のため事務所内で監視しているのが、現場の責任者が着用する移動式カメラの映像。

6月からはカメラ着用での巡視回数を増やし積極的に状況把握を行う。

横河ブリッジ日南油津大橋作業所 長田修監理技術者:
現場にいなくても、どこからでもiPadとか通信環境があるところであれば作業員さんの表情が確認できて、熱中症の予防、早期発見につながると思う。

今回の対策義務化を受けて、熱中症発生時の処置手順についても作業員への周知を徹底。工事に携わる企業全てが責任を持って対策を実施するため予防管理者を明確化した。

横河ブリッジ日南油津大橋作業所 長田修監理技術者:
今までも出来る限りの熱中症対策に取り組んできた。それぞれの会社、責任者作業員が今まで以上に熱中症に対する対策に取り組み、命を守る対策を取っていく事が重要と考えている。

今回の義務化で、対策を怠ると6カ月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金となる。国は企業などに対し、職場の巡視やバディ制の導入など、熱中症の症状がある作業者の積極的な把握に務めるよう、呼びかけている。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
テレビ宮崎

宮崎の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。