夏本番を前に、鹿児島で熱中症対策会議が開かれた。実は鹿児島県は人口10万人あたりの熱中症搬送者数が全国第1位。しかも中等症患者の7割が高齢者というデータもある。「喉が渇いていないから飲まない、ではなく、時間を決めて飲む習慣を」——現場の医師はそう警鐘を鳴らす。
搬送率は全国平均を大きく上回る
2025年までの5年間平均で、人口10万人あたりの県内熱中症患者の搬送率は69.74人。全国平均の54.51人を大きく上回り、鹿児島県は不名誉な全国1位の座にある。

この深刻な状況を受け、5月13日に熱中症対策会議が開催された。県や鹿児島市の医師会をはじめ、スーパーマーケットなどの小売業者や交通機関の関係者も出席するなど、地域を挙げた取り組みとなった。
高齢者が中等症患者の7割を占める
鹿児島市消防局のデータによると、熱中症で搬送された患者のうち、医療機関での診察が必要な「中等症」の患者は高齢者が7割を占めている。頭痛や嘔吐といった症状が現れる熱中症は、時に命にも関わる深刻な疾患だ。

鹿児島市立病院救命救急センターの吉原秀明センター長は、高齢者が特にリスクにさらされやすい理由をこう説明する。
「お年を召された方は、なかなか若い方と違って暑いというのを感じにくい。」

暑さを自覚しにくいため、危険な状態になるまで気づかないケースが多い。また、水分補給の手段としてお茶を選ぶ高齢者も多いが、適度な塩分補給も合わせて必要であることも、正しい知識として広める必要があると吉原センター長は指摘する。
「時間を決めて飲む」習慣が重要
では、具体的にどう対策すればよいのか。吉原センター長はこう呼びかける。
「猛暑日が続くような状況であれば定期的にこまめに水分をとる習慣をつけることが大事。『喉が渇いていないから飲まない』ではなくて『時間をおいて何時に飲む』という習慣づけが必要。」

喉の渇きを感じてから飲むのでは遅いケースもある。特に高齢者は渇きを感じにくいため、時間を意識した水分補給が命を守ることにつながる。
気象情報からも熱中症対策を発信
会議にはKTSの中俣気象予報士も出席し、日々の気象情報コーナーを通じて熱中症に関する情報を発信し、県民の熱中症を少しでも減らせるよう努めていくと報告した。医療機関だけでなく、メディアや小売業・交通機関といった生活に身近な存在が一体となって対策に取り組む姿勢は、地域全体での意識向上につながる取り組みといえる。

夏はすぐそこまで来ている。全国ワーストの現状を変えるためにも、県民一人ひとりが「時間を決めて水を飲む」という小さな習慣を今から身につけておきたい。
【動画で見る▶人口10万人あたりの熱中症搬送者数が全国1位の鹿児島 県や医師会が夏前に対策会議を開催、啓発強化へ】
