仕事や趣味で何気なく使っているノート。実は、綴(と)じ方や紙質によって使い勝手が大きく変わり、それが集中力や思考力に影響するという。

1930年創業のノートの製造・販売会社である大栗紙工で、Xでの広報活動を担当している今城さんに、ノートの選び方を教えてもらった。

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「綴じ方」と「行ピッチ」をチェック

「まず、重要なのが綴じ方です。仕事中や資格の勉強などで使う際は、できるだけフラットに開くノートを選ぶと集中しやすくなります」

例えば、背を糊(のり)で接着した「無線綴じ」は、ページの段差が小さく開きやすいのが特徴だ。一方、二つ折りにした紙の折り目を糸で綴じる「中綴じ」は、開くとカモメのような形状になり、開きづらさを感じる場合がある。

開くとカモメのような形状になる「中綴じ」(左)と、ページの段差が少ない「無線綴じ」(画像提供:大栗紙工)
開くとカモメのような形状になる「中綴じ」(左)と、ページの段差が少ない「無線綴じ」(画像提供:大栗紙工)
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また、リングノートはフラットに開くが、リングが大きく硬い材質のものだと手に当たって集中を妨げる場合があるという。

「集中して勉強したい時などは、フラットに開くようにできている学習用ノートがお勧め。一方、仕事中に立ってメモを取るときは、手に持って書きやすいリングノートがいいでしょう」

ノートの種類と特長(画像提供:大栗紙工)
ノートの種類と特長(画像提供:大栗紙工)

もうひとつ、今城さんがポイントとして挙げるのが「行ピッチ」。

「行の詰まり具合のことです。字を大きく書く方が行ピッチの狭いノートを使うと、窮屈に感じて疲れやすくなります。逆に字が小さめで細かく書きたい方は、行ピッチが狭いノートと相性がいいといえます」

自分にどれくらいのピッチが向いているかを知るには、電話中などに無地のメモ帳に伝言などを書き取る際の文字を参考にするといいそう。

紙質は「ツルサラ」か「ふんわり」か

紙質によっても書き心地が大きく変わるという。

「表面がなめらかなツルツルした紙(ツルサラ系)は鉛筆が引っかかりにくいので、すらすらと早く書けます。

一方、表面に凹凸を感じるようなふわっとした紙(ふんわり系)は引っかかりがある分、鉛筆を思い通りにコントロールしやすいです。特に鉛筆を使うお子さんは、違いを感じやすいでしょう」

鉛筆でツルサラ系(左)とふんわり系を比較。ツルサラ系は軽い書き心地で均質に。ふんわり系に寄るほど木炭のような味が出る(画像提供:大栗紙工)
鉛筆でツルサラ系(左)とふんわり系を比較。ツルサラ系は軽い書き心地で均質に。ふんわり系に寄るほど木炭のような味が出る(画像提供:大栗紙工)

今城さんによると、ツルサラ系は急いでメモを取る時や計算問題などをスピーディーに処理するときに向いていて、ふんわり系は丁寧さが求められる漢字の練習などとの相性がいいとのこと。

自分の好みの書き心地を知っておくといいだろう。