炊飯器で米を炊く前に、水に浸して吸水させている人はけっこういるだろう。炊く前に米に水を吸わせるとふっくらおいしく炊きあがる、という話を一度は聞いたことがあると思う。
実はこの吸水時間、「必要なかった」と言われたら驚くだろうか。
調理家電メーカーのタイガー魔法瓶広報の林優紀さんは、その理由をこう説明。
「現代のほとんどの炊飯器は、吸水時間も加味した炊飯プログラムが搭載されています。だからわざわざ時間を取る必要はありません。ちなみに、弊社の商品では、1981年から発売しているマイコン炊飯器から吸水は不要になっています」
吸水不要の炊飯プログラムはなんと40年以上前に誕生していたわけだが、ずっと知らなかった人もいるのでは。では、現代の炊飯器で吸水させることは無駄なのだろうか?
「もちろん無駄ではなく、吸水させることでより米の甘みやうまみを引き出すことができますが、すぐにスイッチオンしても、十分においしいごはんが炊けますよ」
センサーで吸水をコントロール
それにしても、夏と冬で吸水時間が違うという話も聞くが、本当に全部お任せでいいのだろうか。
「お任せで大丈夫です!炊飯器の温度センサーが水温や米の状態を感知し、最適な温度と吸水時間に調整します」

タイガー魔法瓶の炊飯器は、白米メニューの約50分で主に次の4つの工程を行っている。
(1)水の温度を上げて米に水を吸水させる
(2)温度をさらに上げて沸騰させる
(3)沸騰を持続させて炊き上げる
(4)ご飯を蒸らす
それぞれの工程が綿密にプログラムされているため、人間が余計なことをしなくてもバッチリおいしいご飯が炊き上がるというわけだ。
「“早炊きコース”は吸水と蒸らす工程がカットされているので、少しかために炊きあがるぶん、時間が短縮されるという仕組みになっています」
米を研ぐ時は必ず35℃以下で
ただ、綿密なプログラムが搭載されているからこそ、余計なことをすると台無しになってしまうという点は覚えておきたい。